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酒とスパイスのチョコレート
「あーら和希ちゃんごぶさたぁ」
行動も思考もワンパターンな自分で自分が嫌になる。
和希は西園寺の店に来ていたが、久しぶりの来店に西園寺はオカマバーのママのように身体をくねらせながら嫌味たらしく和希に言った。
どこでもいいから他の店にすればよかった……
和希が後悔しているのを悟ったように西園寺がカウンターから出てきて和希の髪を撫でる。
「クリスマス以来じゃねーか、買い物とかなくても顔出しに来いっつったろ」
ぐりぐりと和希の頭を撫で回しながら言う西園寺を見上げながら和希はごめんなさいと言った。
「なんだろな、お前全くタイプじゃねーけど全身撫でくり回したくなるな」
「撫でくり…!?」
ぼっと赤くなった和希にぶはっと笑いながら西園寺はカウンターに凭れて煙草を咥えた。
「バレンタインのプレゼントか?」
うんと頷く和希に西園寺はニヤリと笑う。
「お前が全身チョコレート塗りたくってリボンでもつけりゃ満足しそうだけどな」
「お、俺!?」
ぶんぶんと首を横に振る和希を見ると西園寺は顎髭を弄りながらうーんと唸る。
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