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酒とスパイスのチョコレート
毎日のようにチョコレートをググり、悩みに悩んだあげく、和希は数種類のスパイスが入ったそれほど甘くなさそうなチョコレートをネットで頼んだ。
それをどのタイミングでどうやって渡すか、それが一番の大きな問題なのだ。
自分もチョコレートをもらったことがある、
その時にも好きですなんて言われたことはなく、はいと渡されてきたのだが、果たして自分もそうやって壮史に渡していいものか。
気持ちも身体も昂ぶっている行為中ならまだしも、完全な素面の状態で好きですなんて言える訳がない。
いや、もう壮史にはわかっているんだから、
はいどうぞでいいだろう、うんいいはずだ。
和希は自分を無理矢理納得させてうんうんと頷いた。
バレンタインを翌日に控え、和希は西園寺の店を再び訪れた。
「おーう、ひよこちゃん待ちかねたぜ」
ニヤニヤする顔を隠そうともしない西園寺を和希は睨むように見上げる。
「……嫌な予感しかしないんだけど」
「厳選に厳選を重ねて決めたからイケメン鼻血吹くぞ」
「壮史が喜ぶ物?」
「間違いねぇな!」
西園寺は自信満々の笑顔で親指を立てるが、中身を見せようとしないことに和希は眉間に皺を寄せる。
が、せっかく用意してもらった物だ、
和希は代金を払いお礼を言った。
「ちゃんと報告しに来いよ!Buona serata!」
「え?ぶ?なんて言ったの?」
「勉強しろよ、大学生」
西園寺は和希の髪に顔を埋めるようにキスをし、殴ろうとした和希の手をひょいと避けながらチャオと手を振った。
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