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酒とスパイスのチョコレート
「な!?なに、それ!?」
和希に聞きながらも壮史の頭の中には西園寺からのメールが蘇る。
なるほど、この事か…
涙こそ流れていないが、和希は鼻声になっており、鼻を啜りながらたどたどしく話す。
「これ、西園寺さんがくれたんだけど、
鍵、がなくて、
俺面白半分で付けちゃって…」
そこまで言うと涙がポロッと和希の差し出している腕に落ちた。
「俺、違うから。
いつもの、壮史とのセックスで、
充分、だから、
好き、だから…」
啜り上げるのに気を取られながら和希は頬も鼻も赤くしながら必死で壮史に訴える。
かっ、可愛いすぎる!
壮史は掻き抱きたくなるのを舌を噛み切るような思いで堪え、和希をそっと抱きしめた。
「わかってる、大丈夫」
「うん………」
身体を離すと和希の左手に目と手をやる。
「痛くないの」
「うん、ファーがついてるから痛くない」
和希の手首に付いている手錠の細い鎖で繋がる先にはもう一つの手錠がぶらぶらとぶら下がっている。
壮史はそれを手に取ると和希の右手首にカチャンと嵌めた。
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