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酒とスパイスのチョコレート

「和希の嫌がることはしない」 壮史は和希の頬を撫でながら努めて優しく言った。 和希が小さく頷くのを見ると壮史は一旦起き上がりサイドテーブルの引き出しからローションと避妊具を取り出す。 寝室の暖房をリモコンで確認してから首の後ろに手を回し服を引っ張り上げながら脱いだ。 和希の心臓がドクンと音を立てて、和希は泣きそうに顔を歪めた。 いちいちかっこいいの、やめてくれよ。 どこまで、いつまで、こんなに心臓を虐めるつもりなんだ。 色気も柔らかさもないこんな身体を、壊れ物みたいに大切そうに触るなよ。 言いたいのに口を開いてしまえば出てくるのはいつもと違う甘えるような声。 壮史の手や唇が自分の身体を愛しそうに滑るのを和希は泣き出しそうに顔を歪めながら見つめた。 「ん、あっ…」 「和希、今日感じやすいな」 手首にかかったままの服が邪魔で腕を頭の上に上げた和希の身体を下へ下へと壮史の手が滑る。

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