ここのところずっと雨だ。 気象庁曰く、この時期にこの雨の量は数十年ぶりらしい。 毎日毎日雨で、 毎日洗濯物は乾かないし、 毎日部屋は薄暗いし、 毎日壮史は忙しいし。 雨が降り始めたくらいから壮史のバイトが忙しくなり、 加えて大学の方でもバタバタしているようで帰りも遅い。 挨拶だけとは言わないが、2人は最低限の会話しかしない日が増えていた。 和希は胸の奥がもやもやしていた。 壮史が忙しくなってからもうずっともやもやとしている。 忙しくても和希の顔を見れば笑顔を見せてくれるし、 バタバタと出掛ける前や待ちきれず先に寝てしまう時は髪や頬に触れたりもしてくれる。 でも、和希の胸のもやもやは大きくひどくなるばかりで、それが余計に更なるもやもやを生んでいた。