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大人でも子供でも

玄関を開けるとリビングの電気がついていた。 リビングへのドアをそっと開けるとソファに壮史の頭が見えた。 足音を立てないようにソファに近づき覗くとソファで壮史がうたた寝をしていた。 床に膝を付き壮史の顔を見つめる。 疲れた顔、目の下に隈もある。 そっと頬を撫でると瞼がぴくりと動いた後壮史の目がゆっくりと開いた。 その開いた目が和希を捉えると壮史はふっと笑いながら和希の頬に手を伸ばして愛しそうに触れた。 「和希………おかえり」 鼻の奥がつんとする。 たったこれだけでほったらかしのようにされていたことがどうでもよくなる。 壮史も寂しかったんだ、自分に触れたかったんだとわかった気がした。

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