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大人でも子供でも

風呂から出るとリビングの電気は消されていた。 寝室から漏れる僅かな灯りに導かれるように和希は寝室に向かう。 ベッドに寝転がっていた壮史が身体を起こし布団をめくると自分の隣をぽんぽんと叩いた。 和希がそっと身体を滑りこませると壮史の腕が和希の身体を引き寄せた。 壮史の熱と匂いに包まれて和希はほっと息をつく。 和希の髪に顔を擦りつけていた壮史の動きと呼吸が段々と遅くなり、やがて寝息が聞こえてきた。 壮史の唇に軽いキスをすると壮史の胸に擦り寄り和希も目を閉じた。 翌朝先に目を覚ましたのは壮史だった。 腕の中で気持ち良さそうに眠る和希を見て目を細めると同時に朝の生理現象に腰をもぞっと動かす。 もうどれくらい和希に触れてないのだろう。 壮史としてもこれほど忙しくなるとは予想だにしていなかったのだ。 睡眠時間すら削る毎日でも和希に触れたくない日などなかったが、 余裕のない状態で触れてしまえば和希に無理をさせるばかりかひどくしてしまうかもしれない、 その思いから軽い接触以外は意識して避けていた。

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