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大人でも子供でも
和希に触れたいのに触れられない狂おしいほどの思いは久しぶりの夢精によって思い知らされ、
中学生に戻ったようで情けなさに失笑した。
まだまだ自分は子供だ。
何もかもに余裕がない。
和希が自分に気を遣っているのが痛いほどにわかるのに、それを満足に汲み取ってやることもできない。
これから先も和希を離す気は毛頭ない。
今はなくとも、お互いが社会に出ればあれこれと周りからいらないことを言われることもあるかもしれない。
その時、自分がどれほど自立でき、自信を持ち、和希を支えられるか、
どんなことがあっても決して揺るがない自分であるために、望む自分になるために、
何故だかはわからないが、足掻くのは今だと壮史は思っていた。
和希にまで無理させてどーすんだよ…
和希を見て急ぎすぎていた自分に気付くとは。
本当、ガキすぎて笑えるわ……
和希の柔らかい髪に指を入れ梳くように撫でると、和希の腕が壮史の身体に回された。
額を壮史の顎にすりすりと擦りつけると、ふっと笑みを零す。
そんな和希を見て壮史も笑い、和希の髪に顔を埋めるようにしながらキスをした。
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