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春の夜に
「壮……」
和希の涙声に壮史は中に入れ込んだ指をそのままに顔を上げる。
微かに震える手で壮史の頬に触れ、和希は流れ出す涙を隠すことなく壮史を見つめた。
「なんで、そんな意地悪すんの…?」
壮史の、触れてもいない性器がびくりと揺れる。
急激に射精感がこみ上げた壮史は唇を固く噛みながら指を抜き、上半身を起こして和希の髪をゆっくりと撫でた。
「欲しい、って言ってるじゃん…」
「ごめん、あんまりかわいくて」
「も、早く、挿れて…」
壮史の頬に自分の頬を擦り寄せ、和希の手が避妊具を着けた壮史の性器を握った。
「ね、早く……」
焦らしてみるもんだ。
笑ってしまいそうな顔を必死で引き締めながら壮史は強請られるままに和希の後孔に先端を当て、ゆっくりと先を埋め込む。
仰け反った後顔を横に向け荒い呼吸を繰り返す和希を見ながらもどかしいくらいにゆっくりと腰を進めた。
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