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切ない春休み
一方和希は数字で把握しておきたいタイプで、西園寺とは真逆だった。
この棚には何が何枚、というふうに記録にも残したい。
それを言うと西園寺は欠伸をしながら面倒くさそうに言った。
「和希がやりたいんなら止めねーけど、俺は見ねぇぞ」
開店してから昼すぎまではわりとのんびりしているが、
昼過ぎからはひっきりなしに客がやってきては西園寺と会話をしながらあれこれと服や小物を引っ張り出し、試着もし、
驚くことにやってきた客のほとんどが試した品物を購入して行く。
西園寺の店は海外サイズの大きな物の扱いもあり、相撲取りのような体格をした男や、
ラクビー選手のようなやたら上半身の立派な男、
モデルのような背の高い男など、日本人離れした体格の男も多く目立った。
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