346 / 412
切ない春休み
インターンシップで人気の出版社、エントリーシートに記入はしたものの、準備もエントリーも遅すぎた和希はさすがに入れなかったが、
たまたま空きが出、短期バイト募集をするという情報を壮史から貰い面接を受け無事受かった。
担当者に連れられ担当する女性雑誌のフロアに来ると、軽い自己紹介と挨拶をして頭を下げた。
指導員として紹介された女性は和希とそれほど歳の変わらない若い女性だった。
改めて自己紹介をし、頭を下げ上げた時、その女性の驚く顔に和希も驚き止まる。
「戸川くん?」
名前を呼ばれてもわからない。
和希は必死で思い出そうとする。
「森田、です」
女性が恥ずかしそうに名乗ると、和希の中でパズルのピースがはまるように答えが出された。
「葵!?」
「…久しぶり、だね」
森田葵は和希が初めて付き合った女性だった。
ともだちにシェアしよう!