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切ない春休み
一日目を終え部屋に帰ってきた和希はソファに凭れ森田と付き合っていた頃を思い出しぼんやりとしていた。
あの頃の自分はただ女の身体に興味があった。
森田のことはかわいいと思っていたし、好きとも思っていたが、
それよりキスをしたり身体に触れたりすることに積極的だった。
高校の入学式を前に2人は和希の部屋で行為に及ぼうとした。
生で見る女の身体に和希は思っていたよりずっと冷静で、自分の下で身体を染めて恥ずかしがる森田を労ってやる余裕すらあったが、
どれほど触っても反応しなかったことに大きなショックを受けた。
緊張しているだけかとも思ったが、いざという時に役に立たなかった自分が恥ずかしく情けなく、高校入学を期に森田との連絡をしなくなった。
高校や家に何度か森田は訪ねてきたが、和希は何かと理由をつけてまともに話すらしなかった記憶がある。
最後に見たのは森田の泣きそうな笑顔だったことを思い出し、和希は顔を歪める。
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