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切ない春休み
短期のバイトはあっという間に過ぎた。
森田と接する時間も最初だけで、時折視線を感じることはあったが、積極的に話しかけることはしなかった。
インターンシップの学生たちも同時期に終了するため、小規模な送別会が催されることになり、森田と和希も参加した。
飲めない学生もいたことでか送別会はただの食事会のようなアットホームな雰囲気で終始笑い声に溢れる。
そんな中ふと目をやった森田は一人目立って酔っていた。
トイレに立ったついでにと声を掛けてみれば和希の腕を掴んで離さなくなった。
間が悪いことにそこでお開きの声がかかってしまう。
「森田、大丈夫か?」
周りの人達が店の出口に向かうのを横目で見ながら和希が森田の腕を掴んで立ち上がるよう促す。
腕を肩にかけなんとか立ち上がらせ荷物を持って店の出口に向かうとすでに解散が告げられたようで二次会目当ての人達が集まっていたり、
帰る人達が駅に向かう背中が見えた。
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