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切ない春休み

和希は一旦店に戻りタクシーを頼むと部署の先輩に声を掛けた。 「珍しいわね、森田さんがこんなに酔うなんて。 戸川くん、悪いけど森田さん送っていってあげて」 強く断ることも出来ず和希は頷いた。 先輩から住所を教えてもらいタクシーに乗り込むと横に座っていた森田の身体が和希に凭れてきて、そのままずるりと和希の膝に頭が倒れていった。 森田の口にかかった一筋の髪を指で避けてやり、 過ぎていく景色に目をやると和希のパーカーの裾がぎゅっと握られる。 思わずふっと笑いを零して、和希は寝顔を見下ろしながら森田の部屋までの時間を過ごした。

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