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切ない春休み
「俺の恋人………男なんだ」
「………………………………………え」
思わず顔を上げた森田の驚く顔を見て和希は顔を歪めたまま軽く笑う。
「ゲイかどうかは、…………わかんないけど、その人以外とそういう行為ができるとは思えない。
………葵のことは好きだと思ってたし、かわいいとも思ってた。
でも、いざって時に反応しなかったのが恥ずかしくて、それだけで葵を避けた。
ちゃんと話すことも恥ずかしくてみっともないと思って、……………逃げた。
本当に、ごめん」
和希は頭を下げた。
下げてしまったら鼻の奥がつんとし、顔が上げられなくなった。
そんな和希の髪に森田の手が触れる。
「戸川くんの髪、大好きだった。
優しくキスしてくれる唇も。
全部の初めてが戸川くんならいいと思ってた」
森田の手が和希の顎に触れる。
顔を上げてと言われているようで、和希がそろそろと顔を上げると森田はニコッと笑ってみせた。
「ちょっとだけ、ごめんね」
森田はそう言うとまた和希の首に腕を回し強く抱きついてきた。
戸惑っている和希の耳朶にチュとキスをした森田は片手を降ろし和希の股間をぎゅっと握った。
「ぅわっ!」
「あ、本当に反応してくれない」
「あ、葵っ!?」
「ふふっ、ごめん」
くすくすと口元を隠すように手をやり笑う森田に和希も漸く身体の力を抜き笑う。
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