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甘い恋人

学食で豪と昼飯を食べているとバタバタと足音が近づいてくるのが聞こえて、 振り向いた和希の額と、 近づいてきたヤツの顎がガチンとぶつかった。 「「いっ、てぇ…」」 豪がもぐもぐと口を動かしながらもあたふたと立ち上がり和希の額を擦る。 「はいそうふか」 「え、なんて?」 額を擦る豪がもぐもぐ言ったのを涙目の和希が聞き返すと、ごっくんと飲み込んでから豪が口を開いた。 「大丈夫か?痛いの飛んでけ、やる?」 まだ小学生の小さい弟がいる豪は時々お母さんのようになる時がある。 和希が顎を押さえて床でのたうち回る渡邉を睨んでいるのを気にもせず、 豪は痛いの痛いの飛んでけーと和希の額をすりすりと撫でた。 漸くのろのろと立ち上がった渡邉が俺にもやって、と顎を豪に向けると豪は渡邉の顎にも痛いの痛いの飛んでけーとでかい身体を縮こませながらやった。 「で?俺に用なの?」 「あ、あぁ、そう!ちょっと相談!」 「何」 ぶつかった衝撃で弾けとんだ箸を拾いながら聞き、拾い上げた後渡邉の顔を見るとうすら赤なっていて、 和希は武市関係だなと瞬時に思った。

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