367 / 412

甘い恋人

学食を出て豪と別れ和希と2人になると渡邉がおよそ昼間の大学構内とは似ても似つかない言葉を口にした。 「戸川はさ、セックスで相手を満足させてるって思う?」 何の前振りもなく振られた話題に和希の脚が止まり、表情も思考も止まる。 「え」 回りを見渡してから渡邉が口を開く。 「俺、正巳と、その、付き合ってんだけど」 まさかバレてないと思っていたのか。 そこにも驚いた和希に、渡邉はびっくりするよなと違う解釈をして項垂れた。 「いや、そこに偏見ないから気にすんなよ」 サンキュと短く礼を言い、渡邉が後頭を掻く。

ともだちにシェアしよう!