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甘い恋人
翌朝身体の痛みに顔を顰め起きると先に起きていた壮史が柔らかい笑みを浮かべながら和希の髪を撫でていた。
「………おはよ」
掠れた声で挨拶すると眉を下げた壮史も返事をする。
「おはよ」
髪を撫でる優しい手つきに少し赤くなりながら、それを悟られまいと和希が口を開く。
「昨夜のこと覚えてないだろ、壮史すげーしつこかった」
「覚えてるよ、全部」
「え」
思わず上体を起こし、痛みにへなへなとシーツに横たわる和希の髪にまた手を伸ばしながら壮史が笑う。
「たいてい所々記憶飛ぶんだけど、昨夜のは全部覚えてる」
ぼわっと和希の顔が赤く染まるのを気付かない振りをしながら和希を抱き寄せ壮史が言った。
「好き好き言いながら縋って来てめちゃくちゃかわいかった」
「……………っ」
「俺とのセックスもキスもぜん」「うわーーーーっ!」
壮史の言葉を遮るように和希が叫び壮史の口を手で塞ぐ。
「もう言うな!」
「はいはい」
「風呂、連れてけ」
「はいはい」
込み上げる笑いを隠しもせず壮史は口角を上げたまま素っ裸で素っ裸の和希を横抱きで抱き上げる。
「和希」
「なんだよ」
「好きだよ」
ぽかんと口を開けた和希を見下し壮史が笑う。
「壮、史、まだ酔ってる?」
「さぁ?」
「もう一回、もう一回言って!」
「なんて言ったっけー?」
「壮史!」
「はいはい」
ちゅと和希の頬にキスをした壮史はそのまま和希の耳元に口を寄せる。
「好きだよ、俺も」
じわじわと全身を赤くし始める和希を胸に押し付けるように抱き寄せ、壮史は風呂場に向かう。
また蕩け濡れた目の恋人を甘やかしてやろうと企みながら。
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