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溢れる家族愛
和希が風呂から出て髪を拭きながらリビングに戻るとダイニングテーブルに凛と赤坂と圭が、
テレビの前に豪と海がそれぞれ座っていた。
「やだ、和希ちゃん、髪乾かさないと」
和希を見た凛が椅子から立ち上がるのを和希が手を出して止める。
「この部屋あったかいから大丈夫、ありがと、凛」
首にタオルを巻いたまま豪の隣に腰を降ろすと代わりに豪が首のタオルを引き抜きながら立ち上がった。
「俺も風呂入ってくる」
和希がうんと頷くと豪は一瞬赤坂の方を見やり、着替えを取りに階段を登って行った。
目の前の海は数学の宿題に唸りながらシャーペンを回す。
「あーもうわっかんねーよ、こんなの」
シャーペンを投げ出しラグの上に寝転がった海を見た赤坂がこちらに来ると、寝転んだ海の横に腰を降ろした。
「あ、ここの数字が違うからです、そこを直したら出来ますよ」
赤坂の言葉に海がのっそりと起き、赤坂の指が置かれた箇所を見、はっとした顔をした。
投げ出したシャーペンを持つとガリガリと一気に書いていき、書き終わると赤坂の顔をちらと見る。
にこりと笑った赤坂が合ってますと言うと海の顔が綻んだ。
和希が腕を伸ばし海の頭を撫でると、撫でんなとすぐさま手を払い退けられる。
「なぁ、あんた、豪と付き合うの」
直接な質問に海と圭以外が固まった。
「あいつ女慣れしてねーからその気ないんならからかわないで」
「海!そんな言い方失礼だよ!」
凛の高い声が響いた。
リビングの空気が張り詰めたようにピリピリするのを感じた。
圭を除いて。
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