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溢れる家族愛

冷えた空気に溢れる人の熱気で電車の窓が曇る。 隣に立つ人が持つ傘の先から流れる水が和希の足元を濡らすのを眺めていると、目的の駅に着くアナウンスが流れドアが開いた。 押されるようにホームに立った和希は足早に改札を出口を目指した。 気分の滅入るラッシュも人混みも気にならなかった。 壮史はもう帰っているだろうか。 夕飯の買い物をして帰る時間すら惜しい。 毎日顔を合わせているのに、どうしてこれほどまでに会いたいと触れたいと焦がれてしまうんだろう。 壮史、俺、お前が大好きだ。 改めて思う。 俺が家族になりたいのは壮史なんだ。 なんの約束がなくても同じ家に帰り、 食事をし、眠る。 別々に働き、それぞれの時間を過ごす。 そしてまた帰ってくる。 俺が、壮史が帰ってくるべき場所、 それにお互いがなれたら。 それを……永遠にできたら。

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