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第28話 里帰り(4)

 ようやく最後まで終わり、みんなはニヤニヤにしながらも気まずそうにお互いを見ていた。 「明生はこういうの嫌いなの?」突然アツシが言った。 「別に、そういうわけじゃないけど。」 「なんか嫌そうな顔してるじゃん。」 「えー、明生、勃ってねえの?」とハルト。 「あ、うん。」 「もしかして、勃たねえんじゃねえの?」ハルトが馬鹿にするように笑った。 「そんなことない。今出てきた女の子たち、あんまり可愛くないし、なんか……。」 「なんか、なんだよ。」ハルトに迫られて、 「き、気持ち悪いっていうか……。」と本音を言ってしまった。  ハルトは思い切りムッとしてから、わざとらしくニヤニヤして、「明生はオコチャマだな。チン毛も生えてねえんじゃねえの?」と言った。 「生えてるよ! ……ちょっとだけど。」 「本当かよ、見せてみろよ。」そう言ってハルトは僕に襲いかかってきた。ズボンに手がかかったその時。 「やめなよ。」そう言って止めてくれたのは、カケルだった。  みんなは一斉にカケルを見た。カケルは割とお調子者で、こういう時に、こういう風に1人で勇敢に止めるような奴じゃないんだ。だから、みんなびっくりしてカケルを見た。みんなに一斉に見られたことに、今度はカケルがびっくりしていた。何か続きを言わなくちゃならない雰囲気になり、カケルはおずおずと話し出した。「お、俺さあ、あんまし、ていうか、ほとんど生えてないんだ。やっぱみんな、生えてるよな? プールの着替えの時に見てたら、結構、ボーボーの奴多くて。」  みんなで顔を見合わせる。 「なあ、ヤバイかな。俺だけ? みんなボーボー?」カケルは上目づかいで一人一人を見た。 「俺も、そんなにボーボーじゃないし。」アツシが言った。ていうか、言った時にはズボンをパンツごと引き下ろして、見せていた。「な? このへんとか、ちょっとあるけどさ。」  カケルは途端に元気になった。「なんだ、俺とおんなじじゃんか。」と言って、こいつもズボンを下ろした。確かに、アツシと大差ない。  アツシとカケルが、そもそもやりあっていたハルトと僕を見て、場の空気が、微妙な感じになる。え? 僕も見せなきゃなの? マジで?  でも、ハルトにあんな風に言われたことはまだ悔しかったから、どうせ見せるならハルトより先に見せてやれと思って、僕も脱いだ。 「おお。」何故か歓声が上がる。「明生、意外にボーボー、って程じゃないけど、ボー、ぐらいだな。」「ほんと、意外だな。」「意外にボーだ。」  意外にボー、ってなんなんだよ。  ハルトが悔しそうにしながら、脱がない。 「生えてなくても笑わないよ。」と謎のエールを送るカケル。 「生えてるよっ。」とハルトが叫んだ。 「じゃあ、見せろよ。」と僕が言うと、ハルトがおびえた目で僕を見た。いや、ハルトだけじゃなくて、アツシも、カケルもだ。いつもは大人しい僕がそんな言い方をしたからだろう。でも、チンコまで見せた僕に怖いものなんてないんだ。  ハルトは嫌そうに、ズボンとパンツを脱いだ。僕と同じぐらいの、ボー、だ。何が嫌だったんだろう。 「普通じゃん。」と僕は言った。 「普通、かなあ。」ハルトはすがるような目で僕を見た。さっきまでの勢いはどこへやら、だ。「なんかさあ、ちっさくね?」  僕はまじまじとそれを見た。他人のチンコをこんな近くでじっくり見るのは初めてだ。ハルトのチンコは、さっきのAVよりはずっと小さいけど、丸出しのままの他の3人と比べたら、別に違わない。 「同じだよ。」と僕が言うと、アツシもカケルもそうだそうだと同調した。 「本当に?」 「あ、それ、お父さんに聞いたことあるよ。」とアツシが言った。「上から見るのと、横から見るのとでは違うんだって。自分のチンコは上から見るから小さく見えて、ひとのは、横から見るから、大きく見えるって。」 「マジで?」ハルトは心底ホッとしたみたいだった。「俺、ちっこくねえ? フツー?」 「うん、普通。」みんなでウンウンとうなずいた。 「よかったぁ……」ハルトはハアーと大きく息を吐いた。そして、みんなで笑った。みんなしてチンコ丸出しで、何やってるんだろう。  無事にチン毛問題もサイズ問題もクリアした僕たちは、機嫌よくズボンとパンツを履いた。

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