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第7話

「大変だ!!!!!」  駆け込んできたのは教員ではなく、梅木原のグループの一員である枝野(えだの)だった。 「どうしたんすか? 枝野先輩」  香井はキョトンとした様子で息が切れている枝野へ声をかける。すると、梅木原はまずは何か、飲んだらどうかと提案する。 「それどころじゃねぇんだって!! 今、お前に会わせろってめちゃくちゃな野郎が殴り混んでいて……」 「めちゃくちゃ?」 「今、実元(さねもと)以外が潰れて、タイマン張ってる状態」  枝野が口にした実元というのは梅木原のグループのNo.2だ。他にも実元には敵わないが、腕に覚えがある者や、正攻法で闘わなければ有段者に一矢報いるようなヤツもいる。 「とにかく、行ってみましょうよ」  香井に促されると、梅木原達は裏庭へ行く。教員の目が届きにくい事もあり、部室棟の空き部屋を除くと、ベストポジションとされている場所だ。  倒れて伸びている4、5人と、実元に囲まれるように1人の男が立っていた。 「やれやれ、伏兵ですか?」  小綺麗に短めにカットされたダークブラウンの髪。眼鏡をかけた生白い肌。ひろりとした身にはこれもまた小綺麗ではあるが、飾り気のないスーツを着ている。  落ち着き払った笑みを浮かべる彼はお世辞にもあまり強そうには見えない。  だが、梅木原の感のようなものが彼を只者ではないと告げる。 「随分と派手にやってくれたな」  梅木原はそんな事を呟くものの、倒れた実元や舎弟達がそこまで傷ついていないように見えた。無駄にダメージをつける事なく、相手を倒す。  そんな闘いをするヤツだと感じた。 「いや、我が君から梅木原様に言伝を預かって参ったにすぎないのですけど、この方達ときたらやたら血気盛んと申しますか……」  無駄な動き1つする事なく、彼は静かに梅木原に近づく。俊敏というか、力が強いだけでなく、身体能力が色んな方面でかなり高そうだった。 「申し遅れました。私は雨宮家の執事をしております折笠と申します。以後、お見知り置きくださいますと僥倖にございます。梅木原様?」  訝しむような、何か面白いものでも見ているような、そんな目で見られている気もするが、梅木原は折笠が笑ったように不敵に笑い返した。

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