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第4話 (下) *

 浅く引き抜かれ、深々と突き刺される。最初は義人の身を案じてゆっくりだった動きも、徐々に激しさを増していた。 「あ、あッ! デュラさ、も……や、ぁ!」 「随分と、中が熱いな……っ」 「やだ、やっ! そんなこと、言っちゃ……ぁんッ!」 「ヨシヒトッ」  動きに、声に……デュラハンの限界が近いのだと、気付かされる。  ロンググローブをはめたデュラハンの手が、義人の逸物を握った。  突然触れられたことにより、義人は体を大きく跳ねさせる。 「あッ!」  擦り上げられると、体が勝手に強張ってしまう。長らく触れていなかった逸物は、久し振りの感覚に、呆気無く限界を告げた。 「出ちゃ、出ちゃう……ッ! デュラさ、あっ、んぁあッ!」 「ッ!」  互いに熱を吐き出し、荒い呼吸を繰り返す。  デュラハンの熱を体内に感じながら、義人はぼんやりとした視界で、デュラハンを捉える。 「デュラ、さん……っ、好き……大好き、大好きぃ……っ」  必死にしがみつき、義人は何度も何度も想いを口にした。  デュラハンはゆっくりと逸物を引き抜き、義人を抱き締める。 「……死ぬのが、怖いか?」  柔らかな銀髪が、義人の顔にかかった。  義人はデュラハンにしがみついたまま、小さな声で答える。 「…………うん……っ」  具体的には、死ぬのが怖いのではない。  死ぬということは、デュラハンとの別れを意味する……義人はそれが、嫌なのだ。 「やだ……死にたく、ない……デュラさんと、ずっと一緒が、いい……っ」  そう言いながらも、義人は気付いている。  ――自分の体は、もうとっくに限界なのだと。  余力の無いまま、デュラハンと体を重ねたのだ。限界を迎えたって、何も不思議ではない。  義人は涙を流しながら、瞼を閉じる。閉じたくて閉じているのではなく、開く力が残っていないのだ。 「デュラさん……傍に、居て……っ」  そう呟いて、義人は力を抜く。 (デュラさん……っ)  デュラハンを呼ぶことすらできないまま、義人は死を覚悟する。 「……傍に居る」  薄れゆく意識の中、義人が聞いた声は現実なのか幻聴なのか、もう分からない。  それでも、デュラハンの存在をしっかりと確かめながら……義人は、意識を手放した。  ――そして、二度と開かないと思っていた瞼を……義人は、開くこととなる。

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