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物語本編 07
鈴木は放心状態。
一方の財前は変わらずマイペースで、「しまった」と苦笑い。
財前「俺としたことが、鈴木を前にして、つい興奮し過ぎたみたいだ」
不意に、制服のポケットを探る財前。
差し出されたのは、最近公開されたばかりのSFファンタジー映画のチケット。
鈴木(こ、これ! 公開前から観たいと思ってたやつ……!)
思わず気を取られてしまう、安易な鈴木。
財前「ちょっと本音が零れちゃったけど、本当は、鈴木を映画に誘おうと思ってたんだ」
鈴木「どっからどこまでが本音なのか気になるけど、要は普通に友達として映画行こう、ってこと?」
財前「鈴木がその先を望むなら、今すぐここで応えても───」
そう言いながらネクタイを解こうとする財前を、鈴木は慌てて止める。
鈴木「望んでない!! 望んでないから映画だけにしてくれ!」
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