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物語本編 10

財前「今日は勿論、始発で来たよ」 鈴木「は? この時間の待ち合わせに、始発で来たの? 今更だけど、頭おかしくね?」  呆れる鈴木に対して、財前は満面の笑み。 財前「ありがとう。そんなに喜んでもらえたら、早く出て来た甲斐があったな」 鈴木「うん、会話成立しないから、早く映画館行こう」  少しずつ財前のノリに慣れつつある鈴木。  先に映画館を目指して歩き出す鈴木に、財前は笑顔のままついて来て隣に並ぶ。 財前「俺とのデートが楽しみで仕方ないのはわかるけど、慌てなくても映画は逃げないから大丈夫だよ。そんなところも可愛いんだけど」 鈴木「さっきから『デート』っていう単語が聞こえてくんのは、幻聴かな。願わくばそうであってほしいんだけど」 財前「ああ、ごめん。シャイな鈴木からデートに誘ってもらったら、嬉しくてその場でイッちゃうだろうと思うと、つい願望が───」 鈴木「俺シャイだからもう黙っててほしい、頼むから!」

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