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物語本編 20

 声の主らしき男子生徒二人が、嘲笑混じりに財前を一瞥して通り過ぎていく。  当の財前は、特に表情を変えることなく、折り畳み傘を手にしたまま、鈴木を見詰めて微笑んでいる。 鈴木(聞こえなかったのか……? いや、でも……)  鈴木の耳にもハッキリ聞こえたのに、財前に聞こえなかった筈がない。  それなのに、傷ついた様子も、怒る素振りも見せない財前。    胸にチリッとした得体の知れない痛みを感じる鈴木。  何故か鈴木の方が男子生徒たちに苛立ちを覚え、グッと拳を握りしめる。

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