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第3話
僕たちの名前は変わることなく、
母と住んでいたアパートを完全に引き払い、
必要のない生活用品はリサイクルとして
売却をした。
そして僕たち兄弟は新しい父親と、
祖母の遺してくれた家での生活が
スタートした。
「勝己 、将人 支度はできたか?」
キッチンから簡単な朝食の支度をしながら、
父親となった尚之 に呼ばれる。
母の葬儀を終え、初めての登校日となる。
きっと哀れんだ眸で見られるんだろう、と……
将人は特に気にした様子もなく
「はーい!!今からお兄ちゃんとそっち行く」
と返事をしながら上着を手にして僕の手を引く。
「行こ?」
と微笑む義弟の表情に、将人なりにも
思うことはたくさんあるはずなのに……
その明るさに、情けない義兄である僕が
救われたような気がした。
へこたれてなんていられない。
「うん、行こう!!」
僕らはランドセル片手に父親、直之の元へ向かった。
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