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第4話
学校生活が落ち着き、6年生に進級してすぐの頃だった。
「勝己、背中流してやるぞ」
と、突如、風呂に入ってきたのは尚之だった。
将人はサッカーの練習合宿で、毎週末は家にいない。家には尚之と勝己の2人だけだった。
さすがに成長期で、下生えも生え始めた頃だったので、さすがに羞恥が先立って、見えないように背を向けるような格好になりつつ、ゴシゴシと身体を洗っていた。
すると父は上から覗き込むように
「お、剥けかかってるのか」
と楽しそうに陰部を見つめてくる。
「……!!やっ…やめてよ!!勝手に見るの」
尚之は楽しそうに笑い声で
「隠すな、隠すな、あははは 」
手にボディーソープを手に取り少し泡立てると、そのに塗り込むように優しくその手を上下に擦り出した。他人に初めて触れられる羞恥と、相反して気持ちいい……
「……んふっ……ぅ……」
「……いい声が出るなぁ……」
そう呟いて、ゴクリと唾を飲む音がした。
その時……
「……いぁ゛…痛い!!痛い!!痛い!!」
グイッと剥けかかっていた皮を一気に剥きにかかってきたのだ。そして、カリの部分がしっかりと見えたところから勢いが変わった。
「……ん?へっ?……あ?……あぁん!!」
ソープのヌメリもあってそこを強く擦られると、初めての強烈な快感が背筋を駆け上がっていき、我を忘れるほどの快感まで追い上げられるのはあっという間だった。
「……やっ……なんか、なんか……くる…なんか……出ちゃう……ぁんっ!…やめて…」
自分の声じゃないような甲高い声で訴えるが、逆効果のようで、尚之の手は止まる気配を見せず、首筋や耳朶に舌を這わせながら荒い息が耳や首筋を擽っていく。
その声を聞いて、尚之はその手の動きを抑えるどころか、早めていく一方だった。急激に昂っていく躰と心がついていかない。
「ーーっ!!あっ、あっ、あぁぁぁぁ…!!」
精通、というやつだった。ビクッ、ビクッと躰が跳ね上がり目の前に白濁が飛び散った。目の前がチカチカし、完全に脱力して、背後にいた尚之の腕の中に倒れ込んで、痛みや快感からくる涙を流して焦点の合わない潤んだ眸と荒い息のまま尚之を見上げていた。
尚之に抱きかかえられながら、尚之は勝己の口唇にチュッと一度軽いキスをしてから、勝己の顔に拒否反応を起こさないことを確認するかのように見つめ、まだ、快楽に霞んでる勝己に強烈なキスを仕掛けてきた。
口呼吸のまま口を開いていたので、そのまま舌が口腔内に入り込み歯列をなぞり、上顎や頬肉を舐めまわし、舌を絡ませ吸い上げられ、唾液を流し込まれ口腔内を荒々しく蹂躙する。
快楽のスイッチが入っている状態で、快楽を引き出すようなキスをされては、初めての経験だらけで、何をされてるのかも理解出来ず、抵抗も出来ず、流されるまま、初めて精通したばかりのペニスも立派に男になったのだと、力を持ち始めていた。
「気持ちよかったか?男はこうやってひとりの時は手で出すんだよ。今回は初めてだから頑張ったご褒美付きだけどな。
あぁ……だけど、あまりに勝己が気持ちよさそうで私も興奮しちゃったから、落ち着いたらちょっと手伝ってくれるかい?」
とニッコリと微笑まれる。悪意は全く感じられない。
「……なに……?突然……?」
「男のオナニーは父親が教えるのが一般的なんだよ。女性は知らないけどね。」
と微笑みながら言われた。でも、11歳の勝己でもわかることがある。今のは自慰の範囲を超えている。耳朶や首筋に舌を這わされたことも、引き金になっていることは間違いない。
――あの手の動きを自分で?気持ちのいいポイントは確かにあった。そこを刺激すればいいのか……?
『手伝ってくれ』と言った尚之の発言は同じことをしろ、と要求するのだと理解していた
が、尚之が求めてきたことは、勝己にとって、予想外の事だった。
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