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第6話

あの日以来、義父は静かなもので、 風呂に乱入してくることも無く、普段通りの 生活を送っていた。 親が違うのだから仕方ないのだが、 スポーツもしているのもあり、将人の方が 逞しい体つきになり、身長もほぼ同じという 兄としてはなんとも情けない体格差に なってきていた。 これから、中、高、と背が伸びることを考えると、間違いなく将人は勝己より大きくなるだろう。すでに食べても太りにくい体質の勝己と程よく筋肉がつき始めた将人とでは、どちらが兄がわからないほどになっていた。 確かに、将人の父親は背の高い人だった。 わずかな間だったとはいえ、一緒に生活を共にしたのだから、きちんと覚えている。 180cmは軽く超えていたのだから、将人も それくらいにはなるだろう。 比べて勝己は、小柄な母に、死別したと聞かされてる父親も170cmくらいあるかないかの身長だったはずだ。 聞かされている、という表現をするには理由がある。うちには仏壇がない。父の墓にも行ったことがない。死んだことにしておく方が都合がいい、ということなのだと子供ながらに思っている。真実を確認する前に、母は旅立ってしまったけれど、あまりにも幼い頃にいなくなった父親の面影は、ハッキリとは覚えていない。 比べて、現在の父親である尚之は、いい男の部類に入るだろう。 茶色に染められた髪は軽くカールしている。 本人曰く、天然パーマの髪質だと言う。 180cmの身長に細身だが程よく筋肉がついていて腹を見ればシックスパックがくっきりと出ているが、マッチョでは無い。 整った顔立ちで、いくら祖母が40代だったとはいえ、もっと若い女性を選べただろう、と思うが、熟女好きというジャンルの人なのかもしれない、と思いつつも、なんの血の繋がりもない自分たちを引き取ったのは、理解に苦しむ部分でもあった。 行き先がなくなるのは、困ることだし、 勝己も救われたことは否定しない。 けれど、作ろうと思えば、自分の子供を産ませる女性くらい簡単に作れるだろう。 そうなった時、自分たち兄弟はお荷物の他ならない。 その日が来てもいいように、僕は家事を学ぶことにした。

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