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第16話
なんで、こんなことになっているんだろう…?
衣擦れの音がしたと思うと、前を寛げた尚之の勝己のモノとは違いすぎる立派なモノが天井を向いてそそり勃っている。それを軽く扱いて更に大きくしようとしていた。
「……やっ……ヤメ……」
止めてと訴えるように懇願した。
「……今に自分から欲しくなるようになるよ」
今は仕込み中なのだと嗤う。その欲情した表情に男らしさすら感じてしまって、女じゃないのに、なんで僕なんかを……という気持ちが余計に眸から雫が眦に溢れていく。
「まだ、柔らかいな。もう、指三本挿入ってる。物欲しそうに中が誘ってるぞ?そんなに俺が待ち遠しかったのか?」
そんなはずはない。昨夜のことだって強姦 じゃないか。その所為で、ゴールデンウィークの始まりだというのに……
初めての行為に熱を出し、学校も休むハメになったが、明日からは連休だ。
だけど、この連休に将人は帰ってこない……
試合があることは知っていた。
だから、帰ってこない……
自分を女のように犯す目の前の男とふたりきりになるのだ。
けれど、この人が育ての親には変わりない。
この人がいなかったら、将人と離されてたかもしれない……児童養護施設に行ってたかもしれない。恩義のある人なのは間違いないんだ……
――頭が混乱する。
拒まなければ、昨夜と同じように翻弄されて、みっともないくらい乱れてしまうのか……?
拒んだら……路頭に迷うことになるのだろうか?16歳になってるから、自分で働いて自立する、という選択肢もある。
……でも、将人にどうやって説明する?
こんなこと言えやしない。尚之と距離を置くことも、ここを出ていくことも出来ない……
「……ふっ、考え事ができる余裕があるのか」
「ふぇっ?!あっ、やっ、あぁ……」
弱いところをグリグリと押され、射精感が高まる。同時にアイスを舐めるように裏筋を舐めあげられると、頭が真っ白になる。
「もっと欲しい、と言え。望むように気持ちよくしてやる。」
――望むように?なら、やめて欲しい……
「……ヤメ…て……関係…が…壊れ…る……」
「壊れるような関係は築いてきてない。俺はおまえが欲しいだけだ。」
「……そん…なの…狡い……」
「狡くてもなんでもいい。おまえが一生そばに居てくれると……俺のものであるなら……」
絞り出すような切ない声で言われると返す言葉がなくなった。だからこそ聞かなくてはならないことがある。
「…なんで…僕…なの?……」
昨夜の行為以降、ずっと思ってきた疑問だ。
「……好きだから。愛してるからだよ。明美が死んだ時に、泣いてる顔に欲情した。勝己は絶対に俺好みに成長すると確信していた。思ってた以上に可愛く育ったおまえに我慢の限界がきたのが皮剥きと精通をさせた時だ。16になるまでは我慢しよう、と決めたのもその時だ。他のやつに渡したくない……」
「……だって義父さんはお婆ちゃんと結婚してたのに?女の人との方が……」
「……俺はどっちでもいいんだよ、好みであれば。男でも女でも好きになれば、欲しくなるのは当然のことじゃないのか?最初のおまえのイき顔は最高にそそられた。今でも脳裏に焼き付いてるよ。最高に可愛かった……」
うっとりとした表情で、その時のことを思い出しているようだった。
「……やっ、やめっ……それ、恥ずかしいから……記憶から消して……」
「あんな可愛い顔を忘れたりしたら勿体ないだろう?昨夜、抱いた時は可愛さを通り越して綺麗だった。あんなに美しく乱れてくれるとは思わなかったよ。ゆっくりと快楽に慣らしてくつもりだったのに、自分が止めらなくなってしまった……理性が飛んだのを初めて経験したよ。おまえは綺麗すぎるんだよ、勝己……」
すっ、と頬を撫でられる。
「だからって、僕の気持ちは無視するの?そんなの、酷いじゃないか!!」
躰を撫でながら、ゆったりとした口調で尚之は勝己に語りかける。
「……俺はね、これまでこんなに誰かを欲しいと思ったことがないんだ。ゆっくりでいい、考えてはくれないか?」
ここまでは優しい義父の言葉だった。
「本当は毎日抱きたいが、監禁しそうになりそうだから、最低でも月に数回、俺にお前を抱かせる時間をくれ。20歳までは自由にさせてやる。20歳を過ぎたら覚悟をしておくことだ。セックスの頻度を増やすからな。毎日でも抱きたいのをそれまでは我慢してやる」
――20歳まで……
それが長い時間なのか、短い時間なのか、この時の勝己には、判断することは出来なかった。
――考える時間はあるんだ……
この、10代の貴重な時間をこの男に委ね、好き放題にさせて良いものか……?
呆れさせて、この男から逃げる算段を組んで、
このきちんとした義親子に戻るんだ……
それが今、勝己にできる唯一のことだと
信じて疑わなかった……
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