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第17話
『20歳になるまで待つ』
それはそこで決断をすれば良い、という意味だと勝己は解釈した。
とても自信がある人間の台詞としか思えない。
実際、『待つ』と言っても、月に最低一度の行為は繰り返されるのだ。実際、勝己も尚之の手管に翻弄されてる身だ。
実際、今も喘がされているのが現状だ。
「……あっ、いやぁ……そこ…ダメぇ…あぁん」
「……いや?どこが?お前の中…最高だぞ?気持ち良くて仕方ないって誘ってくる……っ、油断してるとこっちが持っていかれそうだ……」
愉楽に掠れた低音が耳に届く度に、その声にすら追い上げられていく気がする。もう、理性を保っていられるのも時間の問題だろう。
――そして、自分は2度目、3度目を強請るのだろうか?
イヤだ。肉欲に溺れてしまってるのはわかっている。だからこそ、このままの関係が続いていいわけがない。
4年の猶予がある。
その間に自分の道を正しいものに戻さなくてはいけない……
揺さぶられる躰は抵抗を無くし、突き上げられる度に短い喘ぎが漏れる。
尚之は薄い胸に口唇を落とし、胸の尖りへの愛撫も忘れない。
もう、本能のままに躰が男を求め始めた。
勝己自身からはとめどなく雫を流して下生えを濡らしている。そこから陰嚢を伝い後孔までしっとりと濡らしていて、潤滑にグチュグチュと音を立て、尚之によって『泡立っている』と告げられる。
自分では見えない位置だから、そう言われればそうなのだろう。これだけ激しく擦られたらそうなるのかもしれない。
処女は失ったが、まだ、童貞の勝己にはわからない。
普通の家庭を築きたいのだ。両親がいて、子供を作って、幸せに暮らす……
自分が叶わなかった生活を夢見てきた。
そう、昨日までは……
男が男を抱く、という行為すら知らなかった自分に、抱かれる側を体験させたこの義父だって、祖母と……女性との関係を持っていた。
子供すら出来なかったものの、数回流産していたことは知っている。
祖母もまだ、子供が産める年齢だった。
母も物心着く前に実父とは離婚し、再婚したと思ったら、病気になり、義父は入退院を繰り返す母に愛想を尽かして帰ってこなくなった。
そんな僕らを心配してくれた母の親友のさおりさんが夕飯を食べさせてくれたり、当時は義祖父であり、現在義父の尚之が世話をしてくれたりしていたことは事実だ。
求めているのは『本物の家族』なのだ。
だから、自分の子供はそんな思いをさせたくない。優しく幸せな時間を共有する家族が欲しかった。尚之が勝己を抱いても子供は生まれない。自分が望んでる家庭は築けない。
「こんな時に考え事か?余裕だな……」
「へ?やっ、ちがっ……あぁん!!」
さらに強く腰を打ち付けられて、脳髄が痺れるほどの快感が全身に広がっていく。
こんなセックスを覚えてしまったら危険だ……
頭の中で警鐘がなるけれど、主導権を持っているのは尚之だ。勝己はただ、激しいピストンに翻弄されて喘ぐことしか出来ない。
互いのペニスがどんどんかさを増していっている。絶頂が近い証拠だ。さらにラストスパートをかけるような激しいピストンに
「やぁーぁん、あぁぁぁぁ…出ちゃ……う」
「……はぁ、そういう時は『イク』って言うんだ……ほら、言ってみろ……」
「アッ、アッ、アッ……イ……クゥ〜」
「…俺も…出そうだ……ほら、一緒にイクぞ」
「ぃやぁぁぁぁーーーー!!」
全身をビクつかせて、己から吐き出された白濁が勝己の躰や尚之の腹を濡らした。
イッたことで収縮を繰り返す内壁は尚之から子種を搾り取るように最奥に白濁を打ち付けられた。昨夜、何度もセックスをしたとは思えないほどの量の精液が腹の中に熱い体液を流し込まれていた。
そのまま、萎えることを許さず、尚之はさらに腰を揺らす。イッたばかりで敏感な躰は、まだ、感覚を残したままだ。
「……いゃ……んっ……あん……」
「1回で終わらせるわけないだろ?やっと、この腕の中にいるのに……」
うっとりとした声で告げられる。
本気で義父が怖いと思う反面、躰はその快楽を求めて、身を委ねてしまっていた。
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