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第18話

『愛してるから・・・・』 ずっと、この台詞が頭から離れなかった。 当時、たかが11歳の子供に 何を求めていたのか? 引き取った理由がそこにあるのだとしたら、 なんという理由だろう・・・・ 知らない施設に預けられて、将人とも 離れ離れになることが、あの頃は怖かった。 義兄弟だったとしても、僕らは本物の 兄弟以上にお互いを必要としていた。 そこに付け込まれたのだろうか? もし、その頃から躰を狙われてたとしたら、 ものすごい執念だ。 確かに皮剥きも精通もオナニーの仕方も 尚之に教わったことは間違いないし、 その手淫の時に、感じまくってイッたのも 事実だ。 逆に言えば、将人は手を出されていないのだ。 その不自然さを疑わなかった自分も 迂闊だったのかもしれない。 けれど、勝己がどんなように 成長していくのか、など、 母が亡くなった時には 思ってもいなかったはずだ。 もし思っていたのだとしたら、 鬼畜と変態なのだ、としか表現することも 出来ないだろう。 勝己は男であり、人並み外れて 綺麗な顔立ちをしているわけでもない。 背丈も低いし、カッコイイとは程遠い。 ただ、面立ちが母親には似ていることは 周知が認める事実だが、母だって ずば抜けて美人だったわけではない。 女装しても医師でもない限り、骨格では 簡単には見抜けないくらいには華奢だ。 人の価値観の違いなのかもしれないが、 勝己は将人のように、男らしい体型でも 精悍な顔立ちでもない。 どちらかといえば、線が細く、中性的な 見え方をしても仕方ない体格であることも、 母親に似て、穏やかな顔立ちをしていることも 間違いではない。祖母にしても同様だ。 この顔が好きなのなら、似た誰かを求めれば 良いだけの話だったろう。 好き好んで、男である自分を選ぶ必要性が 見当たらないのだ。 あの時、尚之は33歳だったのだから、 たとえ義兄弟が施設送りになったとしても、 離れ離れになったとしても、 彼には関係ないはずだし、 人生のやり直しはいくらでも きいたはずなのだから。 38歳で、高校生と中学生の父親を続けていても そこにはデメリットしかないはずだし、 軌道修正は出来るはずだ。 すぐには無理かもしれない。 少しずつ、距離を置いて自分の人生を 歩んでもらう為に、考えること、 実行しなければならないことが山積みだ。 GW中、ずっと抱き続けれられた。 人並みの恋愛が出来るか、わからないが、 まずは、踏み出してみようと思う。 ・・・・・・このことが、後に自分の 首を絞めることになろうとは思っても みないことだった。

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