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第21話

生ぬるい愛撫が続く…… さっきまでコンドームをつけてたとはいえ、 散々使った場所は、雑に触れば痛むだろ? と、触れるか触れないかの動きで その場所だけ焦らされている。 息が上がる…… 「くぅ……んっ……ふっ……」 まだ、冷めやらぬ行為の後の愛撫に 敏感に反応してしまう。 1番感じるところには強く触れずに怖いくらい 優しい愛撫に振り回されてる気がしてならない 「……や……め……は……なさん……が……」 こんな行為を見られるわけにはいかない。 でも、情けないが、声を抑えることが出来ない 「羽南はもう来ないよ。解雇した。 私に断りなしに他人を家に上げるなど 言語道断だ。しかもヤリマン女をな。 おまえに手を出すような女だ。 当然、処女じゃなかっただろ? 一晩中、おまえが出なくなるまで搾り取る ような淫乱な女はおまえには不必要だ」 胸の尖りを強く摘まれながら、告げられる。 ――解雇って……それくらいのことで? 「……ぼ……ぼくは……あぁん」 腰の奥が疼き出す。抱かれ続けた記憶は 消えてない。まだ、そんなに体を重ねた 期間が長い訳でもないのに。 ただ、その時間がかなりの濃厚な 時間を過ごしてきたことは事実だ。 「おまえが空イキするのは俺の前でだけで 十分だ。他の男にも女にもくれてやる気は ない、と言ったはずなのに、 舌の根も乾かないうちに女を連れ込むとは…… 思ってもみなかったよ……」 尚之は本気で悔しそうに吐き捨てる。 「……生活面での自由は与えたが、 恋愛だけならともかく、セックスの自由まで 与えた覚えはないんだがな…… お前の言う、普通の家庭に向かない女だぞ? あれは誰にでも股を開く女だ。 どうだ?試しに俺で証明してやろうか?」 「……いや……ら……」 例え、尚之が言う通りなのだとして、 仮に彼女がそうだったとしても そんな現実を突きつけられたくもない。 そんな言葉を吐きながらでも、 羽で擽られるような愛撫の手は 休まることは無い。 それでも過敏に反応してしまう自分が とても厭らしく、淫らな人間に思えた。 「あんな便所みたいな女、抱く気にも ならないけどな。さっさと別れろ」 ……初めての彼女なのに…… 勝己の中で思っていても、現実は 従わざるを得ないだろう…… 誰でも良かったんだ……こんな男に抱かれる 生活から脱出をすることが出来るのならば。 別に彼女との結婚を考えてたわけじゃない。 男としての自分を取り戻したかっただけだ。 『男』として生まれたのだから…… 女のように抱かれて悦楽(よろこび)を得る…… そんな人生を歩みたくなかっただけだ。 それすらも奪おうとする尚之が全くわからない 何をそれほどに執着するのか……? 祖母や母に恨みでもあったのだろうか……?

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