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第24話
拘束が解かれ、尚之に頬へと伸ばされた手を、気がつくと弾き飛ばしていた。
たとえ相手が誰であろうと、他人を抱いた直後に、しかもついさっきまで自分が抱いていた
彼女をその本人の目の前で平気で抱いた、義理とはいえ、息子に触る父親がどこにいる?
「……僕に触るな……二度と触るな……」
睨み上げながら、本気の嫌悪感に苛まれていた
「手負いのネコみたいだな。逃げようとしたらおしおきをすると言っておいただろう?私が何の策も練らないとでも思ってたのかい?」
何も悪いことはしてないよ?と言わんばかりの図太い態度がさらに怒りを増幅させた。
「そんなことを言ってるんじゃない!!
あんたが女を抱けることが目の前で見せられて大いにわかっただけでも僕には大収穫だ。
新しい女作って、新しい家庭を作るといい!!
あんたならいくらでも新しい女なんて簡単に作れるだろ!!
僕は僕で生きていく。今まで育ててくれたことには感謝する。でも、あんたと僕の人生は、もう交差することは無い。平行線のままだ!!」
絶縁宣言を言いつけてやったつもりなのに、
一向に本気にしようとしない尚之に腹立たしくなってきた。
「仕掛けたのはそっちだからな?今後一切僕に近づくな!!触るな!!この部屋から早く出てけ!!荷造りをするんだから!!」
やっと勝己の本気を理解したのか、
「ここを出ていくのか?」
眸を見開き驚いた表情で、問うてきた。
彼女に布団をかけてあげつつ、起こさないように、そっとその場を離れる。
満足気な表情で眠る彼女の顔を見ると、
自分とのセックスが、どれほどもの足りて
いなかったのかを思い知る。
「当たり前だろ!!冗談で聞いてたって言うのかよ!!ふざけんな!!最初から本気だよ!!もう、あんたの顔も見たくない!!」
「将人には何と言うんだ?」
「心配しなくても、あんたの事は言わないから安心して。僕は僕で生きていくから、もう僕に一切関わらないで!!」
そう告げた途端……
パンっ、と頬を思い切り叩かれた。
一瞬、目眩がする程度には強さがあった。
「出ていくだと?ふざけるな!!おまえは少なくても未成年だ。そんなことできるわけないだろ?それに私がそれを許すわけないだろ?!そんなことをしてみろ、俺はおまえを監禁するぞ!!いったいどこに行くと言うんだ?」
頬を打たれた痛みに顔を歪ませながら、怯まず
「……だから、話が平行線になる、と言ってるんだ。もう、交差することはないんだよ……僕がどこへいこうと関係ないだろ?一応保護者だからか?だったら教えるよ。役所で手配してもらったシェルターだよ。あんたに絶対見つけられなきゃそれでいい」
クローゼットに向かい背を向けた途端に腕を掴まれて、抱えあげられた。そのまま尚之の寝室へ連れていかれる。
その間も「離せ!!」「やめろ!!」を叫び続け、暴れたが、全然力では敵わなかった。
今朝と同じようにベッドへ投げつけられる。
今朝と違うのは尚之の広いベッドに加えて、腕に拘束具を速攻つけられたことだ。
「……俺が本気でおまえを監禁しないとでも思ってたか?高校生活を満喫させてやりたかったから、自由にしていいと言ったまでだ。その後の進路もあるだろうしな。おまえが正しい判断を出来ないのなら、すぐにでも監禁してやる。
言ったはずだ。俺はおまえを愛してる。本来なら誰の目にも触れさせたくない。」
「……僕の気持ちは完全に無視かよ」
「無視はしないよ?まずは躰から仕込んでるだけだ。早く私だけを愛してる、と言わせたいくらいだよ……私なしでは生きていけないくらいにはね……早く私のところまで堕ちておいで」
口調は柔らかいが、逆鱗に触れてるようだ。
シャツのボタンを無理やりのように開く。
ボタンのいくつかが飛び散り、カツーンと
言う音と転がる音が静かな部屋に響く。
自由な脚で尚之を蹴ろうとしたが、軽く捕まれ失敗に終わる。掴まれた脚を持ち上げられたままズボンのボタンやファスナーを下げ下着ごと取り去られてしまった。
「お行儀の悪い足だな。そのおかげで簡単に腰が浮いてくれたのは助かったけどな」
この男は男女関係なく、脱がすことに関して、
なんでこんなに手馴れているのだろう……?
そんな状態であるのにも関わらず、僕の躰は
この先を期待していることが憎らしい……
キスをしかけてきたら噛み付いてやろうと
思っているのを見越しているのか、
今朝と同様に、口唇以外の場所の愛撫を始める
――絶対に屈してやるものか!!
きつく口唇を噛んだ……
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