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第15話
「とー...れ、い」
「桃李、!目が覚めたのか桃李!?」
「ん... ...。」
「俺を見ろ、見えてるか?分かるか?」
目を開けた瞬間、飛び込んできたのは
真っ白では無く、赤だった。
正確には、赤く長い1束の髪の毛。
「と、れい...が見える。ほんもの?」
掠れて、上手く声が出ないが
確かに映像では無く本物の騰礼が目の前にいた。
それに、真っ白な空間は終わり
意識は漸く現実に引き戻されたようだった。
不機嫌そうに、眉間に皺を寄せ
意志の強そうな眉が歪んでいる。
更に、年季の入った顎髭と
刈り上げた髪の襟足だけを長くはためかせる姿は
確かに、近寄りがたい雰囲気がある。
しかも、炎の様なオレンジと赤の混ざった髪色が
今日に限っては、
火花まで散っている様に見える。
それが、とても綺麗だった。
あの真っ白な空間で
痛く刺されたような胸を隅から全て癒してくれた。
人の''気"を勝手に吸うな、なんて
言えなかった。
「騰、れい...俺、約束するよ。
皆を守る騰礼を、俺が守る、よ。
その為なら、"気"でも何でも好きに使え、」
きっと、腹に渦巻いてるこれは、快感だった。
身体も熱いし、下半身に熱が行き過ぎてる。
だがこの淫らな"気"が
騰礼達の力になり、支えにもなる。
「俺が、いればお前を守れる、んだろ。
あんな、もうズタボロになるまで怪我しなくて済むんだろ。
だったら、守るよ。
俺が絶対に、もう怪我させねぇ。」
「熱烈な、口説き文句だ桃李。
儀式の最中に、意識が飛んでたくせに。
目が覚めて始めに言う事が
"俺を守る"なのか?」
「そうだ、よ...悪いか。」
桃李も、眉間に皺を寄せて答える。
すると、返って来た答えは
やはり見た目通りの無愛想だが、
優しい声だった。
「いいや、悪くない。」
ふっ、と微かに笑った顔が
不覚にも、無い胸をギュと締め付けた。
「悪くないが、桃李。」
「うん?」
「もう、動いていいか。」
「へ... ...何。
ナニがぁっ...ああ、あ...くそ、何すんだよ!」
何処からか、ぐちゅりと卑猥な音がした。
動いていいか、と問われ
ズルリと動いたのは桃李の腹のナカにある
騰礼の熱塊だった。
「ぅ、そだろ、いつの間に。はいってん、ンンっ、んぁあ。」
ズルっ、と抜き出る時に
ゾクゾクとした火傷したようなあの感覚が
這い上がって来た。
「俺が分かるか...、桃李。」
騰礼の必死な甘い掠れた声が、鼓膜に吹きかけられる。
揺さ振られる腰からの感覚と混ざり合っていく。
"おかしくなり、そ...っ、!"
だが、その感覚は、熱く火傷しそうな程の快感は
目の前の男によってもたらされている。
桃李の骨や肌や周りの空気でさえも、
炎の気配がすべからく染めていく。
「骨の髄まで、感じてるとこだよ...っ、く、そ!」
肌同士のぶつかる音がして、
甘く濡れた声と、低く耐えるような熱い声がする。
騰礼の律動は、深く奥まで入り込んでは
長くゆっくりと味わいながら抜けていく。
「ぁ、あ...抜くのいや、だ、」
「嘘だな。」
「いや、だ...っ、てば!んっ、ふぅ、ン」
嘘じゃない。
馬鹿みたいに、腹のナカがゾクゾクして
自分でも分かるほどヒクついて
騰礼をキツく締め付けてる。
それなのに、容赦無くズルりと熱を引き抜かれるのが
堪らなく気持ちいいのだ。
「こ、なの変だろ...きもちよすぎるっ、てば!」
律動の最中、騰礼は舌が絡み合う濃厚な口付けをしてきた。
ねっとりとした、分厚い舌が熱く、
桃李の舌を追い掛けては
きつく吸い付き、絡みついてくる。
やがて、溢れた二人分の唾液を
桃李は、コクリと飲み込んでいく。
「ぁ、あ...っ、ああ!」
桃李にとって、龍の唾液は言わば媚薬。
そして、媚薬によって熱くなった桃李の身体中を巡る"気"は龍にとっては"極上の美酒"
身体の穢れを祓い、荒ぶった"気"を整える。
力を無尽蔵に漲らせ、
あらゆる限りの幸せに満ちた気分にさせる。
「は、これは...凄いな。」
桃李の身体はあっという間に、熱が上がり
騰礼自身を、嬉々として呑み込み、うねる。
「だめ、だ...め、だ。変だ、よこれっ、!」
「悪いが、お前のナカに俺の精を注ぐまでは
止められない。
好きに気を遣っていいから、耐えろ。」
そういうと、騰礼は腰の動きを激しくした。
短く早いストロークが、桃李のナカを
ガツガツと刺激する。
「あ、あ、アアッ、!」
刺激されれば、奥が勝手に広がって
ぐにぐにと、騰礼の熱を引き込もうとする。
「ナカぎ拓いてるぞ、桃李。」
「ンぅっ、ナカ入れてっ、奥の方がイイ...っ、ァア‼︎」
強請る桃李の腰を強く掴み、
騰礼の熱が、最奥を突く。
同時に深く口付けられ、
桃李の腹に蠢く"気"が一気に吸い取られて行った。
ゾクゾクッ、とした快楽が桃李の身体を
炎が駆けるように熱く悶えさせ、
訳が分からぬまま、
愛液を迸らせ、背中をしならせながら
ナカを締め付けた。
「ぐ...っ、」
騰礼の男らしく抑えた声すらも
桃李を、感じさせ
最奥に叩き込まれた愛熱で、
また、イッたばかりの下肢から
とぷりと精を零してしまった。
「は、はぁ...っ、んく...ナカ、せーえき熱ぃ。」
「まだ駄目だ。
このまま暫くまて、俺の気を馴染ませて...っ、
封印を全て解かせる。」
「んうっ、きもちぃ...これ。
騰礼がおれのナカに入ってるのわかる。」
もそり、と殆ど無意識で
桃李は淫らになった腰を騰礼へと押し付ける。
すると、じんわりとナカが心地良い快感を発し
つい止まらなくなってきた。
ズッ、ズッ、と桃李は
自ら腰を夢中で動かし始め
気が付いた頃には、うつ伏せで
腰をがっしりと捕まえられ、
激しく抱かれていた。
「ああ、騰礼っ、騰礼イッくからぁあ、むりぃっ、!」
「好きなだけ果てて良い。もっと見せてみろ。」
ガツガツと腰がぶつかり合い、
最奥まで突き入れられる。
最もイイトコロを刺激され、憶えている事は、
最後の方
ずっと、イキっぱなしの状態が続いた事だった。
◯◯◯◯◯◯◯
幾度となく精を零し、ナカでイキ続けた桃李は、
最早、何処までが自分で
何処からが騰礼なのか境目が分からないほど
体を繋げた。
絶え間無くヒクつく身体と、
ナカに注ぎ込まれた熱で、
その他の自分の変化に気付いていなかった。
ちゅ、と可愛らしい音を立てて
騰礼が口付ける。
「俺の色だ。」
「へ?」
「お前の瞳が俺の色に染まってる。」
「それ、口説き文句なのか?」
違う、と騰礼が短く答える。
「お前の封印が、漸く解けたという事だ。
本来お前は、取り込んだ俺たちの"気"に染まる。
染まっている間は、俺たちの穢れを胎内で浄めているのだと、
聞いたことがある。」
「は、?」
「鏡は向こうだ。」
まだ、快楽で頭がもたつく桃李には、
彼の言うことが半分も分からなかった。
それでも、
乗せられた膝の上と暖かい背中の体温を感じつつ
向こうにある姿見を見つけることはできた。
「な、んだと!?」
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