20 / 44

第20話

「桃李、気持ちいい顔してる。」 「うるさい、見るなょ。」 「ごめん、でも...可愛いよ桃李。」 ニコ、と微笑んで見せる耽淵(だんえん)。 その身には、濃紺の浴衣をきっちりと着込んでおり、 はしたなく、肌を見せている桃李と対照的で、 急に恥ずかしさが込み上げてきた。 だが、耽淵は自分から積極的に肌を寄せてくる相手ではない。 天帝に閉じ込められたあの真っ白な空間で見た 映像の中の様々な耽淵を思い出していた。 四龍の長男でありながら、 少しシャイで真面目だけど自分に自信がない。 何時も、意見を言うときは同意するか小声だった。 さっき、桃李が泣くのを指摘した時以外は。 「なんで、そんなかっちり着込んでるんだよ。」 「なんでって、恥ずかしいからに決まってる。」 「...おれだって、恥ずかしいよ。」 でも、と桃李は腕を伸ばし 覆い被さる耽淵の首を引き寄せる。 「でも、これは"お仕事"だから。」 唇が触れるか、触れないかギリギリの所で囁きかける。 必殺 ハニートラップ。 「耽淵となら、"いい仕事"が出来る気がするなぁ。 おれ、セックスはきちんと肌を触れあわせないとダメだと思う。」 そうだそうだ、と他の龍たちも賛同してくれる。 相変わらず、肌を吸ったり舐めたりして 愛撫の手を休めない。 「で、もっ、僕は皆みたいな筋肉もついてないし、 桃李を気持ち良く出来る自信もない。」 「じゃあ、こうやって...ずっとキスしてんの? 別にこれでも、気持ちいいけど。」 話す間も、小さく口付けを交わしていく。 明らかに、高まっている耽淵だが 彼のシャイは筋金入りだ。 「兄さん、ダメだよ。 桃李が一生懸命誘ってるんだから、ほら。」 「わ、ぁ仁嶺っ、ちょっ、!」 耽淵と場所を交代して足を撫でていた仁嶺が 痺れを切らし、 長男の浴衣をがばりと着崩した。 「ぁ...、桃李。」 その胸に、桃李は自ら擦り寄り 胸に頰を当てる。 「耽淵の肌きもちいぃね。」 水を司るからなのか、 耽淵の肌は熱く火照っていたように見えて ひんやりとしていた。 「そう言うことなら、俺も手伝おう。」 「ぁ、やだ...やめっ、ろ!」 突如、背後から声だけで割り込んできた騰礼が 次の瞬間には がばりと、桃李の両足を抱え上げ 熟れた後孔を耽淵の眼前に曝け出した。 そして、気が付いた。 「なんで!色が変わるのって髪と瞳だけじゃねーの!?」 「ぁあ?」 「桃李、?」 「知らなかったのかい?」 「ちゃんと、言っただろ。」 口々に返答する四龍だったが 桃李はたった今、気が付いた。 髪や瞳だけが、薄桃色で龍の色に変わると思っていた。 だが、今目の前に曝け出されている 自分の下肢の色が見知った色では無かった。 「おれの息子の毛が、シルバーになってる!」 あまりの事実に、仰天する桃李。 「ぼ、僕の気をあげるよ、それなら黒になる筈だよ、!」 それに同情してくれる耽淵。 「それじゃあ、アニキは大人しく桃李を抱くしかねぇーな。」 耽淵の優しい心遣いに感謝した瞬間、 当然打ち砕くのは、義栄だ。 「オレも手伝ってやるよ。 兎に角、姫に気をやって淫乱にさせろアニキ。」 「ぇ、え...っ、」 「そうだな、理性がトんだ桃李は凄かった。」 「ぃや、僕はそんな、」 「ほら、兄さん。桃李が待ってるよ。」 焦る耽淵とは裏腹に、桃李の身体は期待していた。 最近、仁嶺から始めて気を入れられた時 そして、封印を解くため騰礼から、ありったけの気と唾液を交換した時。 あの時を思い出すと、我ながら呆れるほど ぎゅ、とナカが疼いてみせた。 「じゃキスしょ...耽淵。おれじゃ、嫌?」 「そんな訳、無いよ。」 期待に潤みきった桃李の瞳に、 耽淵の理性は陥落した。 「ぁ...ふ、む、ぅ...ん、んぅ。」 鼻にかかる甘い声が、響く。 その間も耽淵は少しずつ気を流し込んでいく。 歯列をなぞり、敏感な下顎を擦る。 やがて舌を擦り合わせ、押し付け合う。 ちゅぱ、と吸うたびにいやらしい音がするが 桃李の頭はもう、快楽を追うだけにしか働かない。 淫らに、深く口を開け舌を奥へと上入れる。 そして、コクリと飲み込んだ唾液は媚薬効果付き。 瞬く間に身体中を満たす、水の気。 まるで包まれているかの様な安心感と、 指先まで浸透していくゾクゾクとした快楽。 「ぁ、は...っ、きたぞくぞく、するっ、!」 「兄貴、桃李は指の腹で上の方を擦られるのが好きだ。」 「い、い...桃李?」 繰り返される口付けの合間に、囁き返す耽淵。 騰礼に足を抱えられたままの桃李は、 へにゃ、と微笑んで答えた。 「はやく、耽淵っ、後ろがヒクヒ...ンぁあ!」 「締まる、」 最後まで聞くことなく耽淵は、桃李の後孔に 日本の指を挿入した。 仁嶺が散々に潤し、拡げたソコは 太い節くれた男の指を、意図も簡単に受け入れた。 ぬぷり、と飲み込み 待っていたとばかりに締め付ける。 「すごいね、桃李...ナカ蕩けてる。」 「んぅ...耽淵の指、ぽこぽこするっ、」 そういえば、武器を持たない、鍛錬もしない耽淵の指は 節くれだち、ペンだこがある。 「きもちいぃ、の?」 「うんっ、上もこすってほし、ぃ...っふぅ、ん。」 時折我慢できずに溢れる声が、 耽淵の脳まで蕩けさせるかの様だ。 彼の言うがままに、愛撫を施したくなる。 「じゃあ、オレは乳首だな。」 「わたしは、桃李の可愛い屹立を。」 「あ、やだ...っ、一緒に触るな、ぁあ、あ!」 胸も、下肢も、後孔も愛され 咥内には、騰礼の舌が入ってきた。 「イク、イク...っ、仁れぃ離して、!」 「ダメだよ桃李。」 途端、根元をキツく握られ 解放を望む熱が堰き止められた。 「そうだぞ、 ちゃんとナカに出されてイかなきゃなぁ?」 「ゃ、だ...イきたぃ、イきたぃ、だんえ、ん、」 「こりゃ、エロいお姫様だ。」 そうだね、と耽淵が喉を鳴らして言う。 目の前にいい匂いを撒き散らしながら 極上の餌が 自ら手を広げて 食ってくれと言うのだ。 その曝け出された恍惚とした表情は、 ひどく美しく 四龍たちの理性すら奪わせた。 「桃李、頼みがあるんだが。」

ともだちにシェアしよう!