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錯覚
なにもかもを洗い流してからドアを開け、更衣室に上がったぼくちんは綺麗に畳まれた3枚のタオルを見つけた。
「すいましぇん、お借りしましゅ」
軽くお辞儀をして、1枚掴むとふかふかで思わずはわわわ!と声を上げる。
「アッハッハッハ……ミツ、面白いわぁ」
突然聞こえてビクッとしたぼくちんは身体を拭くのを止め、前を向く。
その先には、開いたドアに腕を組んだまま寄りかかり、ぼくを見下したような瞳で見る君がいた。
「シャワーもタオルもありがとうございましゅ……たしゅかりまちた」
見られているのが恥ずかしくて、とりあえず胸とちんちんをタオルで隠しながらお礼を言う。
「全然いいよぉ、身体温まったでしょ?」
人懐っこい笑みを浮かべて、柔らかい口調で言ってくれるけど、姿勢はそのまま。
「はい、おかげしゃまで」
相変わらず見られたままだから早く身体を拭かなきゃと手を動かしているのに、なぜか拭いても拭いても水滴が身体に着いてしまう。
ご主人様に飼われてから3年……なにもかもやってもらっていたから、とうとう自分自身の身体さえ自分で拭けないのかと愕然とした。
「ダメだぁね、なは……頭から拭かないとぉ」
君はいつの間にかぼくの目の前に来て、ふかふかなタオルで頭を包み、ガシガシと拭いてくれた。
驚いたぼくが顔を上げる。
綺麗に光る瞳が淀んだぼくちんの瞳と重なり、胸が高鳴った。
「なに見てんのぉ? 」
その問いに答える前に唇を塞がれた。
「ん、んンッ!?」
離してと言おうとして口を少し開けたら、舌を入れられて歯列を撫でられる。
流れ込んでくる唾液が舌でかき混ぜられ、ぼくの舌とも絡まっていくから一つになりそうになる。
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