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第11話
「まあ、会長と仲良くなる機会があったら写真でも撮らせてよ」
「何、言ってんだか……」
千歳は失笑気味にそう言ったが、会長の写真が撮れるか撮れないかは俺にとっては大問題だ。
なぜなら写真部の写真の売り上げは一部、ポケットマネーとして撮った本人が頂けるからだ。
これは写真部内での暗黙の了解であって、決して活動規則として許されているわけではない。
まあ、これも活動意欲促進のための一つの手段と言えるだろう。
なんにせよ、学園人気ナンバーツーの高瀬千歳の親友である俺の懐は常にある程度は潤っている状態だ。
だが、そこに人気ナンバーワンの深海優弥が加われば完璧だろう。
千歳が女生徒限定なのに対して、会長の写真なら男女問わず売れるはずだ。
「カズ……親友で商売するなよ」
あれこれ計算していた俺に気づいた亮太が、呆れたように言ってくる。
「煩い。先立つものは金だ! 亮太、お前だって抜群のルックスがなくても、金さえあれば沙織や佳奈ちゃんにだって振られなかったかもしれないぞ」
俺がそう言い放った瞬間、亮太は……。
「うわ~~ん!」
「よしよし、お前もひどい幼馴染みを持ったな」
千歳に泣きついた……。
「和彦、お前が傷口に塩塗ってどーするよ」
「あ、悪い」
さすがに亮太を可哀想だと思ったのか、千歳に恨めしそうに言われ、俺は謝った。
亮太がまだ失恋から完全復帰したわけじゃないことを、すっかり忘れていた。
「またすぐにチャンスが来るから。な? 俺が知り合いの女の子に声かけてみるし」
そう言って、千歳が亮太を慰めている。
悪いな、千歳。俺には紹介出来るような、親しい女なんていないから。
こういう時、千歳みたいに女にモテる友達がいると助かる。
だが、この後、俺は学園人気ナンバーワンとツーの秘密を知ることとなったのだった。
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