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どうしてこうなった(2)
講義が終わって、教科書やノートを片付ける。
すると背後から肩を叩かれた。
「光ちゃん、お疲れさま〜。」
『おう、奈津美。お疲れ。』
これで今日の講義は終わりだ。
ちなみにこの後はファミレスのバイトがある。
しかし少し時間あるからどうしようかと考えていると、奈津美が俺の隣に座った。
「ねぇ、光ちゃん。
私ね?思ったんだけど…
バイトのこと祥太郎に頼んでみたら?」
奈津美がパッと思いついた表情をした。
『…‥え、祥太郎?』
「うん。
だって祥太郎って顔広いでしょ?
だから高時給のバイトとか知ってるかも。」
祥太郎かぁ。
んー、たしかに。
でも…色々と噂の絶えない人物でもあった。
眉を深く顰め、顎に手を添えながら考える。
すると奈津美がクスッと笑った。
『……ん?』
「もう何よ、その顔。
とりあえず聞くだけ聞いてみたら?」
よっぽど悩んだ表情をしていたのか。
奈津美が面白可笑しく言った。
そして俺の返事は聞かずスマホを取り出し、どこかに電話を掛け始めた。
ーー そして数分後。
「会議室にいるんだって。行こっか。」
笑顔でそう言うと俺の手を強引に引っ張った。
『あっ…ちょ、ま、待って!
あ、あのさ……?祥太郎ってさ?
羽振りとか着てる服とか良いもの多いし……
なんか危ねぇ仕事したりとかしてないよな?』
眉尻を下げ、一番気になることを尋ねた。
すると奈津美が一瞬目を見開いたけど、すぐにクスりと笑った。
「そうね……私も……。
仕事のことは詳しく聞いてないの。
だけど祥太郎の性格は分かってるつもりよ。
だからきっと大丈夫。
それは幼馴染の私が保証します。」
そう言って笑顔でピースサインを作った。
『……ん、そっか。分かった。』
奈津美がそう言うのならば、そうなのだろう。
二人は特別に仲がいいって訳ではないけど、二人の絆ってモノを感じる時がある。
でもそれでもやっぱり俺は……
なんとなく祥太郎を信用する気にはなれなかった。
だって俺とは違って派手な格好に目立つ髪色。
交友関係だってめちゃくちゃ広い。
何よりもこんな冴えない俺なんかと生きる世界が全然違う奴だから。
でも今は……祥太朗に頼るしかないのか。
もうすぐ月末だ。
あれこれ文句などいってる暇はない。
『……ハァ』
大きなため息がつい漏れる。
そして浮かない顔を浮かべたまま、祥太郎のいる会議室へと向かった。
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