「できましたよ、瑞希…いかがですか？自分でご覧になって」 男の言葉に瑞希はそれまで逸らしていた視線を恐る恐る股間に落とした。 大人を象徴する下生えがすっかり剃り落とされ、つるりとした自分の股間が目に飛び込んでくる。 ただでさえこんな恥ずかしくてみっともない姿をさせられているというのに、まるで子どものような無防備な自分の痴態をまざまざと見せつけられて、瞬く間に顔が熱くなった。 「っ…どうもこうも…お前が、勝手にやったんだろ」 「まぁ、そうですけど…でも瑞希だって愉しんでるでしょう？まだこんなに窮屈にさせてるじゃないですか」 男の指先が貞操帯の隙間を潜って閉じ込められた陰茎に触れてきた。 無意識に腰が跳ね、椅子から太腿が浮き上がる。 「…あっ！…さ、触るな」 しかし男はクスリと笑うと、今度は排尿をするために開けられた僅かな隙間から先端を撫でてきた。 まるみを帯びた先端は、何度か擦られただけでクチュといういやらしい水音を立てると、新城の指先との間に卑猥な糸を引いて伸びる。 もどかしくて焦れったい触れ方と、恥ずかしい音に瑞希は苦悶の表情を浮かべた。 貞操帯に押し込められ、勃起させることも射精することもできず、更には核心を外した快楽で焦らされ続けた身体の中では行き場を求めた欲望がずっと暴れまわっている。 まるで身体の中をドロドロとしたマグマが渦巻いているようで、どこに触れられても辛かった。 こんなの…もう耐えられない… 後ろへの擽るような刺激も加わり、瑞希はいよいよ涕泣を漏らしはじめる。 「瑞希」 ふと、新城が名前を呼び瑞希の身体にのしかかってくると、表情を窺うように覗き込んでくる。 滲む視線の先から切れ長の眼差しがじっとこちらを見つめてきた。 背筋がゾクりと震える。 その眼差しに見つめられると瑞希はいつもダメになる。 それまで必死になって守ってきたものをあっという間に崩し、快楽に突き堕とす、毒を孕んだ眼差しだ。 質の悪いことに、瑞希はこれまでその目に一度も抗えたことがない。 次第に息が上がり、頭の中が蜂蜜のようにとろりと蕩けていく。 綻びはじめた瑞希の薄い唇に、新城の熱い唇が重なってきた。 すぐに舌が侵入してきて、口内を蹂躙される。 歯列を割られ、舌を絡めとられて、粘膜を好き勝手に掻き回されて、深く濃厚になる口づけに瑞希の頭の中はあっという間に真っ白になった。 長いキスが解かれ、ぼんやりとする頭に新城が蠱惑的な声で命じてくる。 「自分で広げて見せて強請ってみせて。そうしたら貴方の望む事はなんでもして差し上げますよ」 「な…んでも…？」 瑞希はとろりとした頭で訊き返す。 「えぇ、なんでも」 男は低い声で耳元で囁くと、耳の穴に舌を差し込んできた。 クチュリという水音が瑞希の理性ごとドロリと熔かしていく。 新城は瑞希の手と脚を拘束していた枷を外すとそのまま抱え上げ、部屋の奥にあるベッドにそっとおろした。 素早くネクタイを抜き、前を寛げると瑞希の手を掴む。 「…瑞希がいやらしいから俺もこんなだ」 男はフッと笑うと瑞希の手に股間を押し付けてきた。 いつもの新城とは違う粗野な言い方と荒っぽい仕草にぞくりと肌が粟立つ。 スーツ越しでもわかる熱くて硬くて太い灼熱の塊。 その欲望に触れ、瑞希はゴクリと喉を鳴らした。 散々焦らされた身体に、熱くて太いものに奥まで犯され突き上げられて得られるあの凄絶な快感がよみがえってくる。 欲しい…これが欲しい…奥まで… 頭の中は欲望で溢れ、挿入(それ)の事だけでいっぱいになる。 瑞希はついに堕落した。 自ら脚を広げ、尻の肉を掻き分けると後孔を晒す。 プライドも何もかもかなぐり捨ててか細く呟いた。 「っ…挿れ…て…挿れて…」 その瞬間男の顔が被虐の色に染まった。