3 / 9

第3話 ※R18

 ベッド横のスタンドライトは橙色(だいだいいろ)をしている。普段は白いアランの肌の色は明かりの影響を受けてその色になっている。  くすぐったい。アランの中指の先が俺の首筋から鎖骨をなぞる。鼻から漏れだした吐息を聞いたアランが笑う。 「ショウ、ここ弱いね」 「う……ヒッ」  喉仏を噛み付くように吸い付かれ、たまらず声が出た。 「そう、ちゃんと声出す」  体のあちこちに唇を落とされるたびに、ちゅっと鳴る音が恥かしい。 「あ……んんッ!」  アランの手が俺の中心を撫で上げる。気が付けばとろとろと先端から先走りが溢れ出す。その先走りを纏わせたアランの手のひらが上下に扱く。  腰が痺れ、じわじわとからだが汗ばんでくる。 「大きくなってますね。きもちいですか? ココ、私もそろそろ、いいですか?」  アランの指がツン、と俺の後の穴に触れる。俺は頷きアランに背を向けた。  いつもからだを繋げるときは背面からだ。理由はどうしてもキスしたくなるから、らしい。  アランの国でよく使われるらしい潤滑油はいい匂いがする。この匂いがすると、鼓動が高鳴る。  何の抵抗もなくからだの中へ入り込んでくるアランの指が何度も出入りを繰り返し、入り口広がる。丁寧に解されたあとアランの指が引き抜かれ、いよいよアランの硬い雄の塊がゆっくりと割り開いてきた。 「うぅ……くぅんッ!」 「Good Boy……そのまま、そう」  目を閉じて、与えられる刺激を受け入れる。  からだを重ねる行為がこんなにも快楽を伴うことだと、アランと寝るようになって初めて知った。 「ショウ、きれい」 「いちいち、そんなことを、言うなっ! ああっ!」  奥まで全て埋まったと思えば、ごちゅごちゅと音を立ててアランのそれが俺を犯す。 「照れないで、ショウ……」 「そこ、ばっか、突くな! ひっ、イイッ!」 「うそ、よくないね。ここ、ショウが好きなトコ」  アランと寝るようになって2ヵ月。尻の穴で快楽を得ることに、もう抵抗はない。それでも、恥ずかしさはある。  こういう行為を暗殺のために使っていたのは、まだ十代前半の頃だったし、こんなに丁寧に扱われることもなかった。  気が付けば、喘ぎ続けて開きっぱなしだった口から唾液が垂れて、マスクの中はぐちゃぐちゃだった。その外部から起こる不快感と、内部から与えられる快感に頭が混乱する。 「は、ああっ! アラ、ンンッ! も、ダメだ……あっんうぅ!」  背後からの律動によってシーツにこすり付けられる自分の陰茎が悲鳴を上げた。先端から濁った体液がどろりと溢れ出し、その付近を汚した。 「ん、ショウ……私も、中に出しますね」 「待っ、アラン……ひぃッ!」  アランが中のそれを一番奥へ突き入れるように腰を動かした。限界まで突き入れられた先がドクリと波打つ感覚と一歩遅れるように中へアランの体液が放たれる。  しばらくの後、中を占領していたアランの陰茎が引き抜かれた尻の穴から、精液が伝い落ちた。 「ショウ、嫌でなかった?」  アランはからだを繋げたあと、いつも不安げな表情でそう問いかける。 「いや別に、大丈夫だ。本気で嫌なら……なんとかしている」  俺は汚れたシーツを片付けながら返事をする。 「なんとかって?」  なんとか、殺したり。まあ、物騒なことが頭をよぎったが、それは口に出さないでおく。 「いや……。しかし、王子というもは皆お前のように変態なのか?」 「聞き捨てならない! 愛してる人だけね!」 「よくわからん」 「愛した者に守られるなんて。王子でよかったと思うよ」  愛なんて、知らない。でも、この快楽が愛だと言うのなら……だったらなんだというのだろう。  今は里を抜けて暇だから。この忍者オタクの王子様の護衛をしているに過ぎない。  汚れたシーツを洗濯籠へ持っていくため、俺はアランを寝室に残し部屋を出た。

ともだちにシェアしよう!