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「工事の間騒がしくて申し訳なかったです。今週末から引っ越してきます、英です。これはつまらないものですがよかったらご家族で召し上がってください」
「これはこれは、わざわざありがとうございます。うちも小さい子供がおりますので何かと騒がしいと思いますがよろしくおねがいします」
俳優のような甘いマスクに健斗の母親が嬉しそうに声を弾ませる。父親は英一家の高貴な雰囲気に圧倒されつつ、和やかに自己紹介は進んだ。
英の妻が膝を折って息子の肩に両手を乗せる。
「息子の江彦よ。春からそこの幼稚園に通うの、もうすぐ四歳。僕は?」
僕は? と聞かれて、健斗はやっと自分に聞かれてることに気が付いた。
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