「ごめんなさいね、いつもはうるさいぐらい元気なのに恥ずかしいみたい。偶然ね、うちも春からそこに通うのよ。息子の健斗です」 「だれだって最初は恥ずかしいものね。健斗くん、よろしくね」 　いつもはうるさいだなんて言われてますます顔が上げづらくなる健斗の頭を母親じゃない手がするりと撫でた。ふわりといい匂いがして健斗はますます顔が上げずらくなった。 「家が隣同士で同い年って……ドラマみたいね」 「今の時代幼馴染って意外とないし、これは運命の出会いね」 　母親たちは男たちを無視して盛り上がる。さすがに妻を溺愛する夫たちでも乙女思考にはついていけず、仕事やゴルフへと話の内容は変わっていく。