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橘はもう肉を炒める作業に入っていて、まだにんにくが手つかずの健斗は慌てる。文句を言っていた他の部員も健斗を責めるつもりはない。公平に決めているのはわかっているしいくら女の子でも中学生だからお腹が減る。健斗は気づいていないが、橘からすると若い男性教師に絡みたいだけに見えた。
不器用ながらも頑張って包丁を握る健斗を見て橘が声を上げる。
「健斗ももう終わるわね」
視線をまな板から移せない健斗は、小さくなっていく食材を見つめながら頷いた。
「じゃああなたたちも次の工程いくわよ。ここからが大事よ。香味野菜の香りをしっかり引き出して、ひき肉はじっくりうまみが出るまで炒めるわよ」
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