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「しっかり冷やしてれば大丈夫よ。それより、あなた土ついてないでしょうね?」
「俺が健斗に汚い手で触るわけないでしょ」
「ひこはいつもきれいだもんね。野球で汚れたユニフォームだって俺は汚いと思わないぜ?」
健斗の言葉に橘も江彦も額に手を当てて天を仰ぐ。絵にかいた平凡でやんちゃな男なのに、健斗はたまに驚くほど純粋な発言をする。
いつの間にか他の部員によって江彦の分も含めたイスが用意され、完成した麻婆豆腐を試食することになった。
「部活、抜けてていいの? 今食べなくてもちゃんと家で作ってあげるのに」
「ついでだよ、ついで。俺はいつも人の倍以上やってるからたまにはいいの」
いいの? と心配する健斗だが、本当は一緒に食べられて嬉しいのが滲み出ている。健斗の作った豆腐一丁分の麻婆豆腐はあっという間になくなって、江彦は後ろ髪を引かれる思いで部活へと戻って行った。
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