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「継がないからっ!」
「え、そうなのか?」
とても茶化せる空気ではなくて、視線も逸らせなあい。さっきまでもこもこに泡立っていたシャンプーはへたれて流れかけて元気がなくなっている。
「継がない。今時ヤクザなんて流行らないし捕まるなんてヘマするつもりはないけど、もし逮捕ってなって健斗と離れ離れになったら俺が生きていけない。体格が恵まれてるのも腕っぷしが強いのも、継ぐ為じゃなくて健斗を守るためだから」
「第一健斗に危険が及ぶようなこと、絶対しない」
「父さんの代で終わりにすればいいだけだよ、ちゃんと普通の仕事に就くから」
健斗の返事を待つことなく江彦はたたみかける。必死になってくれるのは嬉しいけれど、健斗にとってはどうでもいいことだった。
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