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梅雨の君 2

ピーーー  どの乾燥機のブザーなのか、並んだ乾燥機を凝視する。その間に漫画を読んでいた彼が立ち上がり、自分の回していた乾燥機へと向かう。慣れた手付きで設置されたカゴに乾いた洗濯物を回収してくると、彼はいつもここの作業台で服をキッチリと畳んで帰るのだ。コインランドリー用にしているらしい、大型ショッピングセンター専用の特大サイズのショッピングバックに丁寧に服を詰めているのを横目で見守る。  間もなく俺の乾燥機もブザーが鳴った。少し彼と距離を開けた作業台で俺も同じように洗濯物を畳む。同じ作業に勤しむも、ひと足早く終わってしまった彼は当然、コインランドリーの自動ドアを潜り抜け帰っていく。今日も作業台の方から彼の後ろ姿をじっと見送った。出入り口のすぐそばに停めた黒い軽自動車に乗り込んで、シンシンと降り続く雨の中を暗がりの方へ走り去っていった。  梅雨が明けてカラッとした日々が来るまで、あと何日なのだろう。ランドリー内に貼られたカレンダーを見る。梅雨の常連は何月まで此処へ通ってくるのだろう。彼との時間を共有する度に俺はそれが気掛かりとなっていた。

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