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第4話 天然ノンケ初めての体験
「も・・・やだ、もう、やめ・・・ろ、よ」
涙目になった涼太が、俺に懇願している。
俺は仰向けになった涼太にまたがり、その細い両手首を掴みソファに押し付けていた。
どうしてこんな状況になったのかと言うと、話は数時間前に遡ることになる。
おっせぇなー、もう夜中じゃん。いつまでやってんだよ、あいつんとこの飲み会は!
時計は深夜1時をさしていた。
だいたい、社会人とはいえ涼太はまだ未成年だぞ!日付が変わる前に帰すのは大人達の役目だろーが!
今日は、涼太の会社のセールが終わった後のお疲れ様会という名の飲み会の日だ。
まだ酒が飲めない涼太がこんなに遅くなるのはなんだか嫌な胸騒ぎがするな。
だからと言って、ただの同居人がわざわざ電話をかけて、何時に帰ってくる?なんて言うのもおかしな話だしな・・・
そんな事を悶々と考えていると
ガチャ
部屋のドアが開く音がした。
やっと帰ってきたか。
「青、まだ起きてたんだ、そっか、明日は土曜日だもんな、休講だからって夜更かししてたのかよ」
はぁ~?お前のことが心配で眠れなかったんだよ!・・・なんて言えねぇ。
「なんか寝付けなくて、テレビ観てたわ」
俺は平静を装って、涼太にそう答える。
「そっか、オレ風呂入ってくるわ」
あれ?なんか涼太、元気なくね?酒も飲めねぇのに上司に遅くまで付き合わされて疲れたのか?
涼太の事が気になった俺は、とりあえず涼太が風呂から上がってくるのを待つことにした。
20分ほどして、涼太が風呂から上がってきて濡れた髪をタオルで拭きながら、ソファにもたれかかっている俺の横に浅く腰掛けた。
「飲み会でなんかあった?もしかして酔ってんの?」
涼太に問いかける。
「んなわけあるか、酒なんか飲んでねぇよ」
やっぱりいつもの涼太より少しだけ声が沈んでいる気がする。
「なに?上司の相手してきて疲れたか?」
俺の言葉に、髪を拭いていた涼太の手が止まる。
え、なに、なんか嫌な予感がする。
「オレさ、あさみさんにやらかしちゃったかも」
出た!あさみさん!もー悪い予感しかしねぇよ、聞きたくなくなってきちゃったな。
「あさみさんが酔っ払って、盛り上がっちゃって、二次会行ってさ、次は三次会だーって仕切り始めたんだけど、いつの間にか気づいたらオレたちふたりだけになってて」
おいおいおい、やめてくれよ、なんかこの先聞くのがこわいよ、俺は。
「あさみさんが酒癖悪いってのは前もって聞いてて、みんないい加減に抜けていこーぜって話にはなってたんだけど、オレだけタイミング逃してずっとつかまっててさ」
あの女、なかなか計算高いじゃねーか、イケメンの涼太をはべらせやがって。
「三次会の席が個室だったんだよ、んでオレたちふたりだけだし、あさみさん、酔っ払いすぎて、オレの手掴んで自分の胸に押し付けるんだぜ」
やめてくれー!俺の悪い予感はそれだったんだな、最悪じゃねぇか・・・それ以上聞きたくない、聞きたくないけど・・・
「オレだって健全な日本男児だから、最初はラッキーくらいにしか思ってなかったんだけど」
お前はそういうやつだよ、顔は無表情だけど、頭ん中はエロしか無いもんな。あ、なんか悲しくなってきたわ。
「なんかあさみさん、スイッチ入っちゃったみたいで、乳首を舐めてくれって、オレもう興奮しちゃってさ、なんせおっぱい触ったのも初めてだし、想像以上にやわらけぇし、マジ最高だなって思ってたんだけどさ」
え?なになに?涼太、もう俺もう思考停止しかけてる。ショックがデカすぎて。
「だけど・・・あさみさんの乳首が想像以上に黒くて、オレ引いちゃって、すいません、できません!って言って置き去りにしちゃったんだよ、おっぱい丸出しのあさみさんを~」
え?
マジか!マジでか!でかした涼太!お前は偉いぞ。さすがは俺が惚れた男だな!
わはははは、あの女の惨めな姿が目に浮かぶぜ!
「そっか、まあしょうがねえよ、部下に手出そうとする上司の方が問題あんだろ、逆セクハラだろ、んなもん」
あー、ちょっと安心したぜ。とりあえず、まだ涼太の貞操は無事だったって事だな。
「明日は公休だからいいけど、明後日出勤すんのこえーよ、オレ」
そう言う涼太の顔は頭にかけているタオルで隠れて見えない。この話を相変わらずの無表情でしてんのか?
タオルの間から覗き込むように涼太の顔を見た。
涼太の顔は風呂上がりで火照っているせいなのか、こんな話をした恥ずかしさからなのか、紅潮していて、どこか困った様な表情だった。
俺は涼太のその表情に何故か腹ただしくなり、この顔をあの女も見たのかもしれない、と思うと訳の分からない苛立ちに胸が押し潰されそうになっていた。
なんだ、これ、すげー苦しい・・・
「なに?青?急にどした?」
俺が戸惑っているのを察したのか、今度は涼太が俺の顔を覗き込んでくる。
近づいた涼太の顔は、まだ紅潮していて乾ききっていない髪が妙に色っぽく見えた。
その瞬間、俺の中の細い糸のようなものがプツッと音を立てて切れた様な気がした。
ドサッ
「いってぇな、何すんだよ急に」
俺は涼太の細い肩をソファに押し付けるようにして、涼太に覆いかぶさっていた。
「おまえ、女とやった事ないからやり方わかんなかっただけじゃねぇ?」
俺は苛立ちと涼太に対する欲望で、自分でも驚くくらい強引になっていた。
「はぁ?確かにオレは童貞だけど、初めてやる女があんなドス黒乳首の女じゃ嫌だとおもっ・・・うっ・・・」
涼太が全てを言い終える前に、強引に涼太の唇を奪った。
「っはぁ、なにしてっ、っん・・・」
顔を背けようとする涼太の顎を掴み、今度は舌を滑り込ませ深く奪っていく。
俺は、かたく瞼を閉じ抵抗する涼太を見ながら、上顎、舌の裏、歯茎、自分の舌が届く範囲の涼太の口内を犯し、これまで味わったことがないくらい興奮していた。
「も、・・・やだ、もう、やめ・・・ろ、よ」
気付けば涙目になった涼太が俺に懇願していた。
いつもの表情筋が死んでるんじゃないかと思うくらいの無表情が崩れ、泣きそうになるのを堪えて、口元は俺と、涼太自身の唾液にまみれて白い首筋まで垂れ流している。
そんなぐちゃぐちゃな涼太を見て、俺はますます歯止めが効かなくなっていた。
「俺がここの攻め方も教えてやるよ」
Tシャツの上から、涼太の胸にある小さな突起に触れる。
「男がそんなとこ弄られたって気持ちいいわけねぇだろ!」
涼太はそう言ったが、触れた瞬間一瞬だけ涼太の体がびくっと反応したのを、俺は見逃さなかった。
Tシャツの上から、指先で優しくこすると、さっきよりもツンとしてきた突起が布越しにもわかる。
「ふ・・・ぅ・・・う、っ」
涼太は声を漏らさないように下唇を噛み、必死で耐えている。
声が聞けないのは面白くねぇな。
俺は無防備になっている涼太の白い首筋に噛み付いた。
「っあ!・・・いってぇ・・・あ、んぅ」
思わず漏れてしまった声が、よっぽど恥ずかしかったのか、涼太の顔はさっきよりも紅く、その色は、白かったはずの首筋まで染めるほどだ。
「声、我慢すんなよ、どこが気持ちいいか自分でわかんねぇと、いざって時に応用できねぇぞ」
俺がおまえの声、聞きたいだけなんだけどな。
「うるっせぇ、男の喘ぐ声聞いて気持ちわりーって思わねぇやつなんかいないだろ」
「涼太の声なら気持ち悪いわけねぇだろ」
「青、おまっ、ぇ・・・いつから、っんな…変態にっ、っあ」
くっきりと歯型が付いた首筋を舐め上げながら、涼太のTシャツの下に手を滑り込ませた。
「おしゃべりしてる余裕あるなら、ちゃんと体で勉強してろよ」
直に突起を指でつまみ、強弱を繰り返す。
「や、だ、それっ、痛てぇ」
「しょうがねえなぁ」
痛がる涼太のTシャツを捲りあげる。
「やめろ、見んじゃねぇ」
なるほど、涼太がドス黒乳首に引いた理由がわかった。
「おまえ、乳首ピンクじゃん」
「うるせえ、ピンクじゃねぇ、ベビーピンクだ」
やべぇ、ここにきて涼太がかわいすぎる・・・これ以上やったら、マジで友達ですらいられなくなる可能性が・・・今すぐ目の前のベビーピンクをいじめ倒したい気持ちはあるが・・・
ちょっと、冷静になんなきゃな。
涼太を失う事だけは全力回避しなければ。
「ごめん、ちょっとやり過ぎた、おまえが情けない事言うから、早く男になってほしーなって思ったら、熱血指導しちゃったよ、ほんとごめん」
ここまでやって、こんなんで誤魔化せねぇよな~。終わったな、俺。
「なんだよ、本気であせったろーが!マジ熱入りすぎだぞ!なんでもいいけど、オレ、当分セックスできそうにねぇわ、頭爆発しそーだもん」
え?もしかしてごまかせた?
嘘だろ、涼太・・・いや、嬉しいんだけど、なんか、こいつ、だいじょぶか?真性のアホなのかな?相手が俺だからよかったものの・・・
見張っとかなきゃ、ぜってえ危ない!
とにかく、涼太が天然なおかげで俺達の友情は守られたんだから、良しとしておこう。
それにしても、下半身が痛い・・・マジ痛てぇな。
涼太の頭が爆発する前に、俺の青くんJrが爆発しなくてよかった・・・
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