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第9話 友達

ん・・・ あれ、オレ、寝ちゃったのか・・・ 青、毛布かけてくれたんだ。 青がかけてくれた毛布から出ると、オレは青の寝室のドアをノックした。 まだ寝てんのかな。 昨夜の出来事をふと思い返す。あれが、セックスってやつなのか・・・オレの口にもケツにも結局入れてねえけど、青の口には、オレの入っちゃったもんな。 あれが、男同志のセックス・・・ オレしか、イってねえよな・・・?青はどうしたんだろう。そもそもオレしか気持ちよくなってねぇじゃん! 昨日やってた事って、青にはなんのメリットもない事じゃん。オレにセックス教えるために、男の体舐めまわして、しかも、あんなとこまで咥えて・・・あいつ、めっちゃいいやつじゃん! あいつが体張って教えてくれたこと、絶対ムダにしねえ!ありがとな、青! なんか、体ベタベタすんな、風呂入ろ。 頭からシャワーを浴びて、何気なく鏡を見た。 「なんだよこれ!!!」 ・・・なんだ?なんかうるせえな・・・ 俺はまだ眠い目をなんとか開けて、寝室を出た。なにやらバスルームで涼太が騒いでいるようだ。 「涼太?なにひとりで騒いでんだよ」 ドア越しに声をかける。 「あああああああ青!なんだよ、この大量の内出血は!オレの体がぁぁぁぁぁ!」 「キスマークと言え、色気がねえ」 「んなこと言ってる場合か!こんなにつけて、ほんっとバカなんじゃねえの!?」 「また、バカ扱いか、おしおきが足りなかったか?」 「う・・・」 ったく、青くんJrを放置して寝やがったくせに、朝から元気いっぱいだな、こいつ。 「・・・青、なんで?」 「何が?」 「なんで男のオレにセックスなんか教えてくれたの?青になんの得もねぇじゃん」 得?得なんてありまくりだよ。おまえに対して下心しかねえんだから。 「それ・・・は、友達が悩んでるってわかったら、力になりたい、って思うのは当たり前だろ」 「そっか・・・なんかごめん、汚ねえとこまで舐めさせちゃったし・・・」 「汚くなんかねえって!俺はむしろ、っ」 「むしろ、なんだよ?」 「っ、とにかく!涼太は汚くなんてないから安心しろって事だよ!風邪ひくから、長風呂すんなよ!」 そう言って、脱衣所を後にしてリビングのソファに倒れ込む。 ソファから微かに涼太のシャンプーの香りがして、昨日の乱れた涼太の姿が俺の頭の中を支配する。 何が、友達、だよ。 嘘くせぇ言葉だな、その一言を言えば、涼太が全てを受け入れてくれるとでも思ってんのか、俺は。 俺にあんな事されてもまだ、俺の事「友達」だって思えんのかよ、あいつは。 ほんと、どうしようもねえな。 「青」 シャワーを終えた涼太がソファに横たわる俺を見下ろす。 「なんだよ」 「あのさ、おまえ昨日、その・・・」 「昨日、なんだよ」 「勃ってたよな?」 「・・・それがなんだよ」 「オレだけイッちゃったから」 そう言うと、涼太が俺の体に覆いかぶさるように自分の体を重ねてくる。 涼太の突然の行動に、俺の心臓の音が激しく乱れる。 「ちょ、涼太くん?どうしちゃったの?」 「・・・今度はオレがやる」 涼太の唇が、俺の唇の右半分に重なる。 な、な、な、なんだ、急に! ほんと、こいつ、何考えてんだ?マジで読めねえ~・・・ 「オレ、キスしたの、おまえが初めてだし、下手クソだよな?ごめん」 涼太が顔を真っ赤にして、フイっと俺から視線を外す。 その仕草に、全身の血が一瞬で沸き上がる。 「そんな下手なキス、教えてねぇ」 涼太の頭を片手で引き寄せて噛み付くようなキスをするが、涼太の制止が入る。 「っ、ちょっと待て!今日は、オレがするから!」 え?涼太が?俺に?ヤバイ、興奮する・・・ 「じゃあ、本番だと思ってやってみろよ」 涼太は俺の顔をガシッと両手で掴み、グッと唇を押し付けてくる。 マジでヘッタクソだな・・・ 舌を入れることはせず、涼太の唇は俺の首筋に降りてきて、小さな唇が喉仏のあたりを這う。 う、これはちょっとクるな・・・ 間隔をあけずに涼太は俺のスウェットを捲りあげ、乳首を舐め始める。 おい、下手すぎんだろ・・・ こんなんじゃ、女なんか抱けねえよ、涼太。 しかし、その拙い舌使いが逆に俺を興奮させた。 脇腹まで降りた涼太の唇が、俺の肌に吸い付いたのがわかった。 「あれ?なんで跡、つかねえの?」 涼太くん、攻めの才能無さすぎです・・・ 「もういいから、早く舐めろよ」 俺は涼太の頭を捕まえて、その整った顔を自分の股間に押し付けた。 涼太が少し震えた手で俺のパンツを下ろし、ゴク、と喉を鳴らす。 戸惑いながら、かたく膨張した俺の一部を握ると、小さな口をめいっぱい開け頬張ろうとするが、半分を口に含んだところで少しえづいて涙を瞳に溜める。 「やっぱいい。ムリすんな、そもそも女はそんなもんついてねえし、それは覚えなくても問題ねえから」 俺は、涼太に対して罪悪感でいっぱいになり、この状況から解放してやりたくなった。 「いやだ、最後まで、やる」 頼むからこれ以上、俺を煽らないでくれ。 頼むから、これ以上俺の罪を深くしないでくれ・・・ 友達、という逃げ道をまだ失いたくない。 咥えることが厳しいと思ったのか、反り立つそれの根元から上に向かって何度も涼太が舌を滑らせる。 涼太が俺のものに必死ですがりついている・・・ それだけで、俺は堪らず、ありえないスピードで果ててしまった。 「おい」 「・・・ん?」 絶頂に達した余韻を遮るような、涼太のドスのきいた低い声に閉じていた瞼をうっすら持ち上げる。 「てめえコラ、何してくれてんだよ、クソが」 「あ・・・」 無表情の中に怒りを宿した鋭い目で俺を見る涼太の顔は・・・俺から吐き出された液体にまみれて、髪までベタベタになっていた・・・ やべぇ、詰んだ。 「・・・ごめん、テヘッ♡」 「・・・コロス」 この後、ポーカーフェイスでブチ切れた涼太に半殺しにされたのは・・・言うまでもない。

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