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第19話 相談相手

一週間、涼太に避けられ続けている・・・。 正直・・・つらい。 今日の涼太のシフトは・・・早番か・・・17時までだな。 よし!迎えに行こう! 俺は、大学の帰りに、涼太の会社の最寄り駅で待つことにした。 17時過ぎ 仕事が終わった涼太は店から出る。 「涼ちゃん、今帰り?」 「のぞむじゃん、どしたの?偶然」 店を出てすぐに、出会った二人は歩きながら話す。 「はは、偶然?ほんとだね」 「あ、そーだ。合コンの時、ごめんな。なんか体調悪くて」 「気にしないで~。山田が涼ちゃんの事、担いで帰ったんだよ」 「青、が担いで・・・そっか」 「・・・なんか、あった?山田と」 「え?・・・別に、なんもない」 「涼ちゃん、隠し事下手だね。もしかして、山田になんかされてるんじゃない?」 「なんで知って・・・あ、なんもない。され、てない」 あーあ、顔、真っ赤にしちゃってカワイイな。 ほんと、かっさらっちゃいてぇな。 「涼ちゃん、ちょっとお茶してかない?俺、喉乾いちゃった。付き合ってよ」 のぞむが涼太の腕を引き、二人は駅近くのカフェへ入った。 二階の窓際の席に座り、のぞむが切り出す。 「涼ちゃん、山田とエッチしてんの?」 「ぶっ!なんっ、え?な、なんだよそれ?」 のぞむの唐突な質問に、飲んでいたソーダを吹き出す涼太。 「わかりやすいね、涼ちゃんて」 「え・・・っち、ってゆーのか、どーなのか・・・」 「いいよ。俺、そーゆーのに偏見とかないから」 むしろ、俺だって抱きたいと思ってるくらいだし・・・ 「涼ちゃんは、山田のこと、好き?」 「え・・・好きだよ。中学からの付き合いだし」 「そうじゃなくて。山田と恋愛、できる?」 「青と恋愛なんてありえねえよ。だいたい男同士で恋愛とかなんないじゃん」 山田・・・かわいそうなやつだな~ 「じゃあさ、なんで山田は涼ちゃんとエッチなことしたがってるのか、わかる?」 「それ・・・は、よくわかんねえ。嫌がらせ・・・なのかも」 山田~、ますますかわいそうなやつ! 「そっか、涼ちゃんはそれでいいの?」 「いいわけねえだろ。青のこと、親友だって思ってたのに、今更なんであんな嫌がらせしてくんのか、わかんねぇし・・・」 窓の外を何気なく見たのぞむは、駅前にいる青の姿が目に入る。 王子様の登場ってか・・・ 「じゃあさ、俺が男同士の恋愛、教えてあげよっか」 「え?どーゆー意味・・・」 「キス、していい?」 のぞむは立ち上がり、テーブル越しの涼太に顔を寄せた。 涼太、おっせぇな。もう18時過ぎてんじゃん。 店からここまで15分もかからないはずなのに、一向に涼太は駅に来る気配がない。 何気なく見上げたカフェの二階に涼太と宮野がいるのが見えて、心臓が嫌な音でざわつき出す。 なんであいつら一緒にいるんだよ。 そう思った瞬間、宮野が立ち上がり、涼太に顔を近付けるのが見えて、俺は走り出していた。 カフェの階段を二段飛ばしで駆け上がり、二人が座る席に向かう。 「涼太!」 「え?青・・・?」 宮野の手が涼太の頬に触れているのを見て、全身の血が湧き上がる。 「涼太、帰るぞ」 涼太の腕を引き、席から立たせる。 「山田。涼ちゃんは帰るって言ってないんじゃない?」 「宮野、てめぇ・・・」 「青、最近おまえ、ほんとどうしちゃったんだよ」 「宮野に、なんかされてからじゃ遅ぇんだよ、わかんねえのかよ」 「・・・なんかしてんのは、おまえの方じゃねぇか」 「涼・・・」 「一人で帰る、ついてくんな」 涼太はそう言ってひとりカフェを出る。 「あーららら。そーとー怒らせちゃったんじゃねえの?王子様?」 「・・・」 「まあ、座れよ」 宮野に促され、とりあえず席についた。 やべえ。あんな涼太初めて見た・・・ 「なんだよ。絡んでやろーと思ったのに、急に大人しくなんなよな」 「・・・」 「おい、山田!調子狂うだろ!」 「・・・」 「はあ。・・・おまえさぁ、ちゃんと涼ちゃんに好きだって言えよ」 「・・・言えるかよ」 「言わなきゃ、ほんとに涼ちゃん、離れってちゃうんじゃねえ?」 「・・・」 「まあ、俺にとっちゃ、お前から離れてくれた方が都合いいけどな」 「・・・」 「あー、もー!いいかげんにしろよ!うっとおしい!」 涼太、怒ってんだろうな・・・ 失意の中、帰り道の記憶がないままなんとか帰ってきたが、ドアノブにかけた手がなかなか動かせない。 あんなに怒らせたのは初めてだな・・・ あんなに傷付いた顔の涼太を見るのも・・・ 俺が、傷付けた・・・? どんな顔して帰れば・・・ ガチャ 突然、玄関のドアが開き、涼太が顔を出した。 「いつまでそこにいるつもりだよ。気配がうぜぇ。早く入れよ」 ううう・・・涼太ぁぁぁ(泣)

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